研究課題/領域番号 |
17K06338
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
岡本 浩 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (00513342)
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研究分担者 |
遠田 義晴 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20232986)
伊高 健治 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (40422399)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 半導体ナノ構造 / Ge / Bi / GeSn / 量子ドット |
研究実績の概要 |
本研究は申請者がこれまでに独自に開拓したビスマス(Bi)を媒介材料としたナノドット形成技術において、そのユニークなナノドットの形成機構と結晶化過程を明らかにし、小粒径かつ高密度のGeナノドットを実現すること、同検討結果をバンドギャップの直接遷移化が期待されるGeSnナノ構造の形成手法にも応用し、Snの媒介作用を利用してGeSnナノドットの結晶化温度の低減並びにSnの高組成化を図ること、及びこれらのナノドットを次世代メモリ素子やGe-MISFET (金属/絶縁物/半導体電界効果トランジスタ)で必要とされる基本構造に導入し、それらの基本特性を確認することを目的としている。 平成30年度は上記Biを媒介材料としたGeナノドットの形成機構と結晶化過程の解明を進め、状態図や蒸気圧をもとにした形成モデルを提案した。また、Snを媒介材料したGeSnナノドット形成に関しては200℃という低温アニールにおいても結晶ナノドットが形成できることを見いだし、バンド構造が間接遷移型から直接遷移型に変わるとされる10%以上のSn組成を得ることができた。Geナノドット、GeSnナノドットそれぞれの研究成果を国際会議等で報告すると共に論文投稿し、論文2報がアクセプトされた。特に後者のGeSnナノドットの低温形成を報告した論文についてはJJAPのSpotlights論文に選定されたとの連絡があり、注目される研究となっていることが確認された。なお、光学的特性評価用のキャップ層形成の検討に関しては適切な構造や作製条件の検討に着手し、現在その特性を解析中である。 デバイス応用に向けた基礎検討としてはナノドットフローティングゲートメモリの作製プロセスに関する検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度当初の計画(平成29年度末に一部の重点項目を変更)に対し、Geナノドットの形成メカニズムに関する検討は予定通り進捗し、GeSnナノドットの検討に関しては前述の通りSnを媒介材料として200℃という低温アニールにおいても結晶ナノドットが形成できること等を見いだしてその成果発表に至る等、大きな進捗があった。しかしながら光学特性を評価するためのキャップ層形成の検討に関しては現在、適切な構造や作製条件の検討に着手した段階であり、やや遅れ気味となっている。 上記を総合し、「おおむね順調に進展している」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画に沿って研究を行うが、昨年度末の重点項目の見直しの通り、低温形成に成功したGeSnナノドットに注力し、その特性向上と物性評価、並びにデバイス応用に向けた基礎検討を研究の柱とする。具体的にはよりSn組成の高いGeSnナノドットの作製条件の検討、光学的特性評価に向けたキャップ層形成の検討及びナノドットフローティングゲートメモリの基本構造の検討を継続して発展させる他、Ge-MIS構造用の金属/n-Geのオーミックプロセス検討、位置制御ドットやドットinナノワイヤ構造形成に向けたEB露光装置を用いたリフトオフプロセス等の検討を開始する。
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