本研究は、有機金属を分子ドーピングした非晶質薄膜を独自の超低酸素分圧プロセスを用いて、サイズ・密度を制御したナノ人工ピンを超伝導薄膜中に形成する独創的手法を開発した。これにより、高い臨界電流輸送能力を有する超伝導薄膜材料を実現するとともに、薄膜形成過程、及び酸化物高温超伝導薄膜におけるナノ人工ピンと磁束量子との相互作用について解明する研究を行った。特に、溶液中のテトラキスZr分子の添加により、薄膜の結晶成長が促進され表面性が向上し、またナノ人工ピン形成により臨界電流密度特性が大きく向上した。更に、HfとLaの共ドーピングにより低磁場から高磁場までのピニング特性の向上に効果があることがわかった。
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