研究課題
ナノ構造を材料に導入することによって,その材料が本来持っている機能をさらに高めることができる.周期的配列構造を持つAu粒子と磁性ガーネット複合構造体では,プラズモン共鳴が発生する波長でファラデー回転角が増大する.本研究では,このようなプラズモン共鳴による磁気光学効果の増大について,実験とシミュレーションにより磁気光学応答を解明した.作製した試料で観察される現象をシミュレーションのFDTD計算で得られた電界値をMATLABによって,回転角と楕円率角の面分布を計算するプログラムを作成した.この方法により,Au粒子の近くので巨大な回転角が生じていることがわかった,しかしこれは場所が限定的であり,距離が離れるにしたがって,回転角分布は平均化されていくことが明らかになった.また本研究の期間に,ナノ構造を持つ新しい磁気光学材料の候補となる磁気光学グラニュラー薄膜の研究を開始し,材料の組み合わせの選定を行った.FeCo,Co,NiFeなどのナノ粒子,そしてSiN,SiO2などの媒体を組み合わせた試料を作製し,磁気および磁気光学特性を求めた.その結果,波長1500nm付近で,ファラデー効果が増大することを確認することができた.さらにAuナノ構造体の光分布を高分解能で観察するため,偏光測定が可能な近接場光学顕微鏡(SNOM)の開発を行った.この研究では制御回路とプログラム開発,制御法の検討,光学系の構築などを行った.始めに開口プローブを用いていたが,分解能が不十分であったため,無開口プローブを用い,使用しているプローブの特性に合わせて周波数制御を行う制御装置を作製した.
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