研究課題/領域番号 |
17K06351
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
傍島 靖 岐阜大学, 工学部, 准教授 (40397691)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薄膜太陽電池 / 有機・無機ハイブリッド材料 / 電気伝導機構 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度のMAPbI3の電気伝動機構の解析を引き続き研究した上で、構造解析を進めた。MAPbI3太陽電池は一定条件下で作成の上、XRDによる構造解析の結果、一般的なMAPbI3ピークを検出した。 さらに長期大気放置、もしくはデバイスを窒素雰囲気で封止した後、低周波数を含む周波数変化に対して何れもイオン伝導性を含む周波数変化を示すものの、特にイオン伝導性の部分に経過時間に対する変化が見られた。この結果により、時間経過に対して電気伝動機構は変化している事が示唆される。一方、構造解析においては大きな変化は観測されなかった。以上の結果から時間経過により大幅な構造変化が生じるわけではないものの、構造内の微小変化、特に光電変化時の伝動機構に何らかの変化を生じ、同太陽電池対する長期信頼性、特に即時の封止処理が後の長期信頼性に重要な影響を与える事が示唆される。 更にMAPbI3太陽電池の光劣化発現光源について、紫外光源を連続スペクトル光からLED光を用いた場合にも同様の経緯を示す事を確認し、必要となる光エネルギーがバンドギャップ光よりも大幅に大きいことが示された。以上より、MAPbI3の光劣化現象はバンドギャップを司る結合とは異なる部分に起因する現象である事が示され、400nm以上の波長領域ではほぼ光照射による発電性能低下が’生じないことが示された。この結果は同太陽電池は異種材料とのスタック構造を含めた紫外吸収材を用いることにより、長期安定性能の確保が可能となることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画では本年度で低温を含む温度変化時の計測を推し進める予定であったが、異動によりデバイス作成系および評価系の再構築、さらには評価においても当初計画より常温時の計測に時間を要し、温度変化に対する項目の部分では一部遅れも生じていが、計画のほとんどは計画通り進めることが出来、計画外の成果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は昨年までの知見を元に、最終年度として長期信頼性に対する評価に特化した研究を推し進める予定である。特に高温でのデバイス動作時において、同太陽電池の材質変化が疑われ、変化量はデバイス作製時の品質、及び動作環境に強く依存じ、長期の安定動作に大きく影響を与える事が予想される。本年度では酸化を抑止する治具を用いた劣化抑止に関する研究を推し進め、将来の安定動作に必要となる知見を、電気伝導解析を含めた部分で推し進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に物品費として、購入しようとした薬品に会社としての品質に一時的な不具合が生じ、出荷停止となっている。平成31年度中に再販予定となっている。同材料は他社からも販売されているが、原料は供給会社によって品質が変化し、同条件で作成してもサンプルの品質が異なることが多くある。よってこの金額相当分を次年度使用額として、販売再開された際に使用する必要が生じた。再販され次第即時購入予定である。
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