研究課題
窒素ドープGaAs上InAs量子ドットの自己形成における量子ドットサイズの不均一化や無輻射再結合中心の生成の原因となる窒素濃度の局所的な揺らぎを抑制し、発光強度を向上させるため、窒素ドープにおける基板温度の最適化ならびに断続供給シーケンスの導入について検討を行った。基板温度520℃での窒素ドープや断続供給などによって、発光強度を維持しながら波長1210 nm程度までの発光波長の長波長化が可能であるが、それ以上の長波長シフトは発光強度の著しい低下をともなうことを明らかにした。次に、窒素ドープGaAs上InAs量子ドットのさらなる長波長発光に向けて、基板温度480℃で100 s、200 s窒化を行った試料および基板温度520℃で200 s窒化を行った試料において、GaAsキャップ層埋め込み成長温度による発光波長の変化について検討した。窒素ドープによって、GaAs下地層から量子ドット内へのGa混入が抑制されるため、キャップ層成長前(as-grown)の量子ドットサイズが減少する一方、量子ドットのIn組成が増大する。480℃キャップでは、埋め込み成長過程における量子ドット縮小が顕著になるため、発光波長はas-grownサイズに依存せず、In組成によって決定される。一方、430℃キャップでは、埋め込み成長過程における量子ドット縮小が抑制されるため、as-grownサイズの減少とIn組成の増大の2つの効果のトレードオフによって、480℃キャップと比較してピーク波長の変化が小さくなることが示された。これらの結果、発光波長制御における3つの要素―as-grownサイズ、In組成、埋め込み過程の量子ドット縮小―の詳細を明らかにするとともに、従来のアンドープ試料と比較して、高い発光強度での1.3 μm帯発光を達成した。
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Japanese Journal of Applied Physics
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