研究課題/領域番号 |
17K06357
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
脇田 和樹 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80201151)
|
研究分担者 |
沈 用球 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20336803)
三村 功次郎 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40305652)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | タリウム系化合物 / ナノ変調構造 / 構造相転移 / 走査型プローブ顕微鏡 / 自発分極 |
研究実績の概要 |
タリウム化合物のコメンシュレート及びインコメンシュレート相におけるナノ変調構造を観察する手段の一つとして、ナノ領域の特性がわかるチップ増強ラマン観測がある。このチップ増強ラマンによってCu2ZnSnS4(CZTS)の異相Cu2Sを10nmオーダーの分解能をもつ観測に成功した。この事によりチップ増強ラマンによりタリウム化合物のナノ変調構造の直接観測に近づいた。ケルビンプルーブ法による観察では、現在十分な自発分極による電位差が観測できておらず、ノイズ除去によるデータの解析から画像の検討を行っている。 第一原理計算においてはTlInS2は室温においてp型熱電材料となる可能性があることがわかった。また光吸収による構造相転移における異方性と変化について実験と一致していることがわかった。さらにFeドーピングに関しての計算によりバンドギャップ内に状態を形成することがわかった。 また、硬X線光電子分光(HAXPES)によるタリウム化合物の解析も行った。HAXPESは、そのバルク敏感性を所以として希土類化合物の価数状態や4f電子と伝導電子間の混成強度の解明に威力を発揮している。また、HAXPESの線二色性から希土類化合物中の結晶場基底状態の情報も得られるなど、HAXPESは希土類化合物の電子状態観測に威力を発揮している。SPring-8 BL09XUに定常的なrHAXPES測定を可能とする構築したシステムを用いてタリウム化合物についても測定を始めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チップ増強ラマン観測による10nmオーダーの観測に成功したことにより、タリウム系化合物への応用が期待できる。また、第一原理計算によるコメンシュレート相やインコメンシュレート相における電子状態の理解も進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
チップ増強ラマンに重点を置き、タリウム化合物のナノ領域のラマン特性を調べることによりナノ変調構造について明らかにしていく。 さらに走査型プルーブ顕微鏡によるタリウム化合物のナノ変調構造の観察においても進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の物品費として購入予定の光学部品の幾つかは他の先生から譲り受けることができたため支出は計画を下回ったが、最終年度の2019年度では研究発表で使用する予定である。
|