研究課題/領域番号 |
17K06359
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
水野 智久 神奈川大学, 理学部, 教授 (60386810)
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研究分担者 |
鮫島 俊之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30271597)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電子・電気材料 / 半導体物性 / ナノ材料 / 光物性 / SiCドット / PL発光 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究業績は主に次の二つの研究項目の達成である.1.三種類のSi結晶構造へのホットCイオン注入を用いてのSiCドット形成及びPL発光の実証,2.面方位の異なる単結晶SiへのホットCイオン注入法を用いたSiCドット形成及びPL発光の実証.具体的な研究業績は以下の通りである. 1.(1)単結晶Si,(2)多結晶Si,及び(3)非晶質Siの三種の結晶構造の異なる半導体基板へのホットCイオン注入によってSiCナノドット形成の実証とSiC構造の解明,及び光ルミネセンス(PL)発光の実証と結晶構造依存性を解明できた.特に,非晶質Siにおいても,SiCドット形成とそのPL発光が実現できたこと,及びPL発光強度が他の結晶構造におけるPL強度と遜色ないことが判明した.このことは,ホットCイオン注入法におけるSiCドット形成には,イオン注入Si基板の結晶性は必須ではないことから,学際的には今後の幅広いSiCドット形成法の実現とその物理機構の解明,実用的には低コスト基板上でのSiC形成の実現への見込みがたったことの意義は大きいと思われる. 2.単結晶Si基板へのホットCイオン注入法の基板温度及びその後のN2アニールが,SiCドット径とその密度に影響を与え,その結果PLスペクトルが変化することを実証した。しかも,それがSi面方位により大きく変化することを解明した.よって,ホットCイオン注入法の最適化により,PL強度向上することに加えてPLスペクトル型(発光色)の制御がある程度可能であることが判明した. 以上の研究成果を,国際学会における国際固体素子材料学会で1件,IEEE Silicon Nanoelectronics Workshopで1件の計2件,国内学会の応用物理学会において4件の学会発表を行った.更に,査読付き論文であるJpn. J. Appl.Phys.に1件,論文掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ホットCイオン注入により,非晶質Si基板上のSiCドット形成も実証し,各種Si構造上のSiCドット形成機構の解明とPL発光の相違を明確にした. 2)バルクSi基板上のSiCドット形成のSi面方位依存性によるその形成機構の解明した. 3)SiCドット層への入出力電極構造の形成法に関しては未達である.
従って,研究は概ね順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の三項目である. 1)SiCドットPL発光効率の更なる向上を目指して,SiCの量子ドット構造化の形成法を確立する. 2)グラフェン及び非晶質炭素を含めた炭素系発光構造の形成を,ホットイオン注入法を用いて行う. 3)SiCドット及び炭素系発光構造を用いた電子注入型発光素子開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度で生じた予算は,計画より執行金額が低いために生じ,次年度の予算に繰り込み予定通りの執行を行う予定である.
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