昨年までの研究において、酸化アルミニウムを絶縁膜として用いた金属/絶縁膜/半導体(MOS)型構造の窒化ガリウム水素センサにおいて、以下の3点の知見を得た。1)絶縁膜(酸化アルミニウム)と水素が相互作用した結果、センサの水素応答が実現する、2)センサ周辺の雰囲気を乾燥空気にした場合、窒素雰囲気と比べて素子の回復が早い、3)電極にマイナスのバイアスを印加すると、素子の回復が早い。今年度は、ショットキーダイオード型センサにおける水素との相互作用機構の研究を行った。その結果、ショットキーダイオード電極界面に存在する酸化ガリウム界面層が素子の水素応答に重要な役割を果たしていることが明らかになった。この酸化ガリウム界面層は通常の半導体に見られるようなアモルファス構造ではなく、単結晶の酸化ガリウムがナノシート状となっていることが申請者らによって確認されているが、この結果、窒化ガリウムを用いた半導体デバイス型水素センサはユニークなセンサ特性を示している可能性がある。また、これらの結果より、半導体デバイス型水素センサにおいては、界面の絶縁膜と水素との相互作用が極めて重要であることがわかる。
|