研究課題/領域番号 |
17K06370
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
依田 秀彦 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312862)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 波長可変フィルタ / チューナブル波長フィルタ / WDM-PON / カラーレスONU / 透明ヒータ膜 / エリプソメトリー / 分光光度計 |
研究実績の概要 |
(1)温度制御型チューナブル波長選択フィルタ(TO-BPF)の性能向上とモジュール化 ■BPF多層膜成膜時の光学モニタ法について,次の改良を行った:①ビーム径の小さなモニタ光の照射,②厚い基板の採用.この改善によりモニタ反射率の挙動を理論値に近づけることができ,半値全幅0.6nmのTO-BPF(シングルキャビティ型)を作製できた.この改良により,今後マルチキャビティ型BPFの開発につながる.■TO-BPFチップを光ファイバフェルールに実装した際の消費電力を低減すべく,次の改良を行ったが,消費電力は低減しなかった:①チップの更なる薄型化(0.2→0.1mmt), ②チップへの断熱溝加工.低減しなかった原因を隻眼線サーモカメラで観察し,チップからフェルールへの熱伝導抑制が十分でないことがわかった.次年度に断熱構造の導入を試みる予定である. (2)赤外波長域(0.8~14μm)にわたる光学定数の高精度評価 ■波長0.8~2.0μmの光学定数を測定評価するため,分光光度計に波長板と回転検光子を組み込んでエリプソトリーの開発を試みた.分光光度計の入射ビームは角度拡がりをもつため,偏光状態の誤差(つまりエリプソパラメータの誤差)が大きいことが分かった.次年度に解決を試みる予定である.■エリプソとは別に,近赤外分光光度計の反射率と透過率の測定結果を用い,逐次分析法により基板試料や薄膜試料の光学定数(n,k)を解析した.吸収が小さな波長領域であれば(n,k)を算出できるが,吸収が大きい場合には計算値が発散してしまう状況である.次年度には,前述のエリプソ開発と並行して,解析の改善を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)温度制御型チューナブル波長選択フィルタ(TO-BPF)の性能向上とモジュール化 ■マルチキャビティ型TO-BPFの作製を実施したかったが,そこまで行えていない.■TO-BPFチップの消費電力低減するため,小型化を追求すれば改善がみられると考えていたが予想通りにいかなかった.新たに断熱構造を導入する予定である. (2)赤外波長域(0.8~14μm)にわたる光学定数の高精度評価 ■分光光度計をエリプソメトリー測定に適用ための問題点が明らかになった点はよかった.この結果を踏まえて次年度に対策を講じたい.■いくつかの試料について(n,k)データベースを公開したかったが実施できず,次年度に持ち越す.
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今後の研究の推進方策 |
(1)温度制御型チューナブル波長選択フィルタ(TO-BPF)の性能向上とモジュール化 ■厚い基板を採用して,マルチキャビティ型BPFの開発■チップを実装化する際の断熱構造の検討(フェルールに断熱溝加工)■応答速度の評価■水素リッチa-Si:H成膜 (2)赤外波長域(0.8~14μm)にわたる光学定数の高精度評価 ■分光光度計の入射ビームを(アクロマティックレンズの導入で)平行ビームにすることでエリプソ測定結果の改善を試みる■分光光度計の反射率と透過率から逐次法による解析■ いくつかの試料について(n,k)データベースを公開
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)消耗品(石英基板や高純度標準ガス)の残量があったので,購入を次年度に変更したため (使用計画)残量に応じて,基板とガスを適切な時期に購入する
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