研究課題/領域番号 |
17K06376
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岡本 浩行 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (60390506)
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研究分担者 |
原口 雅宣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20198906)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光デバイス・光回路 / プラズモニクス |
研究実績の概要 |
平成29年度は波長選択素子を用いたハイブリッド光デバイスの開発のために,まずこれまでに報告されてきた表面プラズモンポラリトンの波長選択素子よりも低損失で実現できるプラズモニックブラッググレーティング構造単体の設計及び作製を行い,その構造について評価を行った。評価は可視光領域において実施した。また構造の作製はイオンビーム加工装置を用いて行った。その結果,作製した構造はプラズモニックブラッググレーティングとして波長の選択ができることを確認した。ただし,損失については入射ポートにはエンドファイヤーカップリングで入射しているため,入射光から表面プラズモンポラリトンへの変換効率の計測は行えないため,明確な損失の値は求められていない。変換効率の計測では表面プラズモンポラリトンと光のカプラを組み合わせた構造において計測する予定である。 平成30年度からは開発したプラズモニックブラッググレーティング構造と表面プラズモンポラリトンのカプラを同時に作製し,ハイブリッド光デバイスの開発を行う予定である。その準備として表面プラズモンポラリトンと光のカプラの設計及び作製を行った。構造の作製は電子ビームリソグラフィ技術を用いることでほぼ設計通りに作製可能であることを確認した。また作製した構造の評価については可視光領域で実施した。評価の結果,設計時に数値シミュレーションで確認した電界分布に等しい結果となることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では平成29年度は波長選択素子構造の設計,作製,評価を行う計画であった。しかし,平成29年度に当初の計画では予定していなかった表面プラズモンポラリトンと光のカプラ構造の設計,作製,評価まで実施することができた。これは波長選択素子単体の作製及び評価のためのセットアップ構築が予定よりも早く完成し,評価を前倒しで実施できたためである。また,これまでの構造作製はイオンビーム加工装置を用いていたが,複数の構造を同時に作製できる電子ビームリソグラフィ技術を利用してカプラ構造を作製した。電子ビームリソグラフィ技術を用いることで評価のために必要となる複数の条件を満たす構造を1度の過程で作製可能となり,構造作製の回数を大幅に減らすことができた。これにより,早い段階でカプラの評価まで実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では平成30年度は波長選択素子と表面プラズモンポラリトンと光のカプラを組み合わせたハイブリッド光回路の設計,作製,平成31年度は作製した構造の評価を行う予定であったが,平成29年度までに表面プラズモンポラリトンと光のカプラの作製,評価まで完了している。さらに電子ビームリソグラフィ技術を用いた作製技術を利用することで,複数の条件を満たす構造の作製が1度の作製過程で作製できるため,複数の条件での評価を効果的に実施できる。これらのことを踏まえて平成30年度は可視光領域において波長選択素子を用いたハイブリッド光デバイスの設計,作製,評価まで実施する。平成31年度は本来の目的である通信波長域での波長選択素子を用いたハイブリッド光デバイスの評価を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の物品費ではプラズモニックブラッググレーティングを評価するためのセットアップの構築の完成が予定よりも早く完了し,想定していた問題(出力ポートからの光を検出できない可能性)が発生せず,購入予定であったレンズドファイバーを購入する必要がなくなったため,物品費を一部使用しなかった。人件費については当初予定していたよりも評価の回数を減らすことができたため,データ整理などを自ら行える範囲であったためデータ整理のための謝金はは利用しなかった。 平成30年度は構造の作製,評価において異なるセットアップを構築する必要があり,デバイスからの出力を検出できない場合はレンズドファイバーの購入する予定である。また平成30年度はs計画を前倒しで進める予定であり,平成29年度よりもデバイス評価のための実験回数は増えるため,実験データは大幅に増える予定であり,データ整理のための謝金を平成29年度に使用しなかった分と当初の計画の分についての使用を予定している。
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