研究課題/領域番号 |
17K06385
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩見 英久 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00324822)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メタマテリアル / 異常吸収特性 / 電波伝搬制御 / 次世代ミリ波応用システム / エルサレム十字形 / ビアレスメタ表面 / 不定媒質 / 反射測定 |
研究実績の概要 |
1. 吸収特性を示すメタ表面を設計・試作・測定した。エルサレム十字形を基本構造とし、ビアなどの貫通孔を使わない単一平面のメタ表面を構成した。得られた構造を解析した結果、長軸方向に右手系特性を示し、短軸方向に左手形特性を示す特異な構造となり得ることに気づいた。このような特性を示すメタ表面は、不定媒質と呼ばれ、未だその特性が十分に検討されていない特異な表面である。そこで、このようなメタ表面を実際に試作・測定し、その特性を詳しく評価した。試作したメタ表面は、33GHz にて右手系と左手系の分散曲線が縮退するよう設計した。θ-2θ反射測定により、解析により得られた分散曲線と同様の特徴を示す測定結果が得られた。メタ表面上を異なる方向に伝搬する表面波の波数がその方向により異なる異方性を示す媒質を構成することができた。このような不定媒質を正しく設計することにより、メタ表面上での表面はの伝搬方向を周波数により制御することが可能となり、ミリ波レーダの高性能化や、極薄型ミリ波レンズなどへの応用が開ける他、異常吸収を任意の方向へ設計するための分散曲線の設計が容易になることが期待できる。 2. 試作したメタ表面は、縦横比が大きく2次元のk空間が歪むため、表面波の伝搬制御範囲が狭まる可能性がある。そこで、縦横比を 1:1 とした新しい不定媒質メタ表面を設計し、試作を行なった。新しい設計では、等価回路により計算した分散曲線と電磁界シミュレータにより計算した分散曲線がよく一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビアを用いないメタ表面の設計過程で、表面波の伝搬方向により右手系・左手系と全く異なった性質を示す不定媒質メタ表面の構造を見出し、設計・試作・測定を行なった。その結果、解析結果と同様の特徴を示す測定結果が得られた。これにより得られた知見は、所望の方向に異常吸収特性を発現させるメタ表面の設計に有用な手がかりとなる。これにより、円柱状の散乱体に対して特定の角度からの入射波のみを強く吸収するような特殊な吸収体を実現するための基礎データが得られた。具体的には、所望の角度で入射した電波とメタ表面上を伝搬する表面波が結合するには、波数の整合が必要であるが、従来は、異なる入射角度に対応するために周期構造の再設計が必要であり、多くの設計労力が求められていたところを、得られた基礎データから、不定メタ表面を回転させるだけで所望の波数が得られる可能性が示された。また、メタ表面を効率的に設計解析するための環境を構築し、次年度以降の研究推進への基盤を築いた。吸収特性を調べるための基本測定系を構築し、所望の性能を発揮することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
円筒状散乱体に貼り付け、散乱断面積をほぼゼロにするメタ表面の開発へ向けて、以下の方針で研究を進める。1. 広い入射角度に対応するために、異方性と分散性をより強く示す不定メタ表面を研究する。1a. 不定メタ表面の性質はまだ不明な点も多く、その動作特性についてより詳しい検討を加える。1b. 得られた検討結果を元にして不定メタ表面を吸収体として利用する際の性能向上を試みる。また、2. 不定メタ表面の新しい応用について研究する。2a. 不定メタ表面の示す特異な伝搬特性を利用してビームスキャニングアンテナなどへの応用を探る。2b. 不定メタ表面を利用したミリ波回路の高性能化への応用を探る 2c. 不定メタ表面を利用した準光学ミリ波系素子の実現への応用を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を効率よく利用するため、できるだけ割引率の高い業者を選定して購入を行った。そのために生じた端数が積み重なって少額ながら残った。これを研究に効率よく利用するため、次年度に使用することとした。
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