研究課題/領域番号 |
17K06387
|
研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
池田 晃裕 崇城大学, 情報学部, 准教授 (60315124)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 2色法 / 表面温度 / 拡散係数 / コンタクト抵抗 |
研究実績の概要 |
ロングパルス化したKrFエキシマレーザを用いたSiCへのAl不純物ドーピングについて,昨年度に引き続き研究を行った.本年度は2色法を用いてドーピング時のSiC表面温度の検出を試みた.レーザのフルーエンスは2.8 (J/cm^2)で,SiCから発光する600 (nm),1000 (nm) の波長の光をオシロスコープで計測した.その結果ピーク温度は約3100 K とSiCの昇華温度とほぼ等しいことがわかった.またSiC温度がピークになる時間はレーザ照射開始から25nsec後であり,レーザ光のパワーがピークになる時間よりも20nsec程度遅れていることがわかった. さらに,SiC中にAlをインプラした試料にレーザを照射し,その前後のAlプロファイルの変化からレーザ照射によるSiC中のAlの拡散係数を導出した.Alイオン注入は500℃にSiCを昇温して行った.加速エネルギーは40 (keV),ドーズ量は 5.0×10^14 ( /cm^2) である.測定の結果,Alの拡散係数は1.05×10^-6 (cm^2/sec) であることがわかった.この値は炉を用いた1800℃での活性化アニール時に観測されている拡散係数よりも8桁ほど高い値である. 次に低コンタクト抵抗の金属電極形成プロセスへの適用を目指して,SiCのC面へAlのレーザドーピングを行い,TLM法でコンタクト抵抗の導出を行った.Alのドーピング深さは200nm程度,表面濃度は5×10^21 ( /cm^3 )である.ドーピング領域にTi/Al電極を用いてTLMパターンを形成した.測定の結果,コンタクト抵抗は4.0×10^-6 (Ohm・cm^2) となり非常に低い値が得られた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は2色法を用いてドーピング時のSiC表面温度を実測しており,またレーザードーピング時Alの拡散係数もAlインプラサンプルを用いて導出しており,当初の予定通りおおむね順調に推移していると考えられる.また,レーザドーピング法を用いて従来に無い低コンタクト抵抗を実現できており,実用化にむけても順調に推移していると考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
ロングパルス化したレーザドーピング法により,深さ200nm程度,表面濃度 5×10^21 ( /cm^3 )が得られ,Ti/Al電極に対するコンタクト抵抗は4.0×10^-6 (Ω・cm^2) が得られている.一方で,レーザー照射によりSiCへダメージが入ることが懸念されており,DLTSやフォトルミネッセンス法をもちいた結晶欠陥の評価を行いたいと考えている.また,JBSダイオードやBJTなどデバイスを作成してその電気的な特性を評価し,低ダメージかつ所望のドーピングプロファイルが得られるレーザ条件を探る.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度より勤務先大学が変更になり,研究遂行に必要な物品に変化が現れたため.2019年度は繰り越した金額と合算してや金属膜の成膜装置の購入を行う.
|