研究実績の概要 |
3D表示技術の代表例として3D映画や3Dテレビとして実用化されている両眼視差方式は, 映像の飛び出し感は得られるが, 表示中の立体像の側面等を回り込んで視認できるものではない。本研究はスクリーン面の回転により形成される立体表示領域の任意の3次元座標に光点を照射配置する原理により, 側面・背面を含む全周方向から視認可能な立体実像を形成する高臨場感3D表示技術を新たに提案し、かつその原理的優位性確認と動画を含む表示性能の可視化確認を行うことを目的とし, 設計支援, 医療技術向上, エンターテインメント用途等への応用を目指している。2017年度には次のような研究実績を上げることができた。 1.各方式試行と選定: 本方式の実現方式としては, 同心円型に分離型スクリーンを複数配置する基本形, 同心円スクリーンを渦巻き状に一体化させたものの他, 分離スクリーンの螺旋階段配置, 螺旋階段型をさらに滑り台状に連続型としたもの等, 様々なバリエーションが可能である。本研究では, 前記種々の組合せによる各種スクリーン形状を試作し, 表示特性の比較評価により各種用途別の最適方式を抽出選定する実験を行った。 2.視認性の確保 1)像ちらつき解消: スクリーン回転を高速化して既知の視認限界周波数を超えることによりちらつきは解消できることを実験により確認した。 2)視野角確保: スクリーン面の適切な不透明性と散乱特性の確保により, ほぼ全方位からの立体像視認性を確保できることを実験により確認した。 3.解像度の確保: 予備実験段階でのスクリーン枚数8枚では断面画像枚数が少なすぎ粗い立体画像表現しかできていないのに対し,連続型スクリーンの採用により断面画像枚数の増加による高解像度化が達成できることを実験により確認した。
|