研究課題/領域番号 |
17K06402
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山内 潤治 法政大学, 理工学部, 教授 (50174579)
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研究分担者 |
柴山 純 法政大学, 理工学部, 教授 (40318605)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光回路 / 屈曲導波路 / 電磁波解析 |
研究実績の概要 |
空気界面からわずかにシリコンコアを石英クラッドに埋め込んだ屈曲導波路において、昨年度まで検討してきた、正方形断面のコア形状に限らず、長方形断面のコア形状においても、純粋屈曲損及び偏波依存損の低減効果が得られることを見出した。この際、偏波クロストークが十分に小さく無視できる程度であることも確認した。 また、コア上部に部分的にクラッドを積層した断面構造において、埋め込み構造と同様に低屈曲損特性が得られることを示した。その際、積層した部分の側壁の傾きの存在が特性悪化に繋がらないことを確認した。 他方、提案する導波路断面構造を利用し、新しい偏波変換器を構成できることを見出した。具体的には、金属(銀)膜を空気と基板の界面に非対称な位置に配置する、極めて簡素な構造で、低損失で効率の良い偏波変換器となることを明らかにした。直線導波路でも動作するが、屈曲導波路を使用すれば、匹敵する偏波変換特性が短軸長で達成できることを証明した。 コア側壁のラフネスおよび傾きが、屈曲損と偏波クロストークへ与える影響の基礎検討を行った。実際の製造工程で生じるラフネスを考慮するには、ラフネスの相関長を計算に組み入れる必要がある。この目的のためのプログラムを整備した。 本研究に基づき特許出願中の内容を、科学技術振興機構と法政大学主催の新技術説明会(2019年3月5日開催)で講演し、広く情報を開示した。その後、メーカーから問い合わせを受け、アドバイスをしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、屈曲に伴う損失が低減できることのみに着目していたが、提案構造を利用することで、簡素な偏波変換器を構成できることを発見した。この結果、本研究の導波路断面構造は、これまでにない低損失のSi細線導波路光回路を構成できる基準形となり得ることを見出した。この内容の論文は電子情報通信学会論文誌で採録が確定している。
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今後の研究の推進方策 |
実際の製造工程で生じる現実的なコア側壁のラフネスの再現が可能となったので、偏波依存損を含めた屈曲損及び偏波クロストークへの影響を調査する予定である。 スポットサイズ変換を行う方法として、テーパ導波路型変換器を垂直方向に結合させる構造を着想しており、今後、広帯域かつ高能率で動作する構造を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用していたワークステーションが故障したため、来年度に急遽、修理もしくは購入の必要が生じた。このため、残額を次年度使用とした。
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