シリコンコアを空気界面からわずかに石英クラッドに埋め込んだSi細線導波路に関して、導波路を屈曲させた場合の諸特性について、最終的なとりまとめを行った。具体的には、動作波長、屈曲半径、埋め込み量、コアアスペクト比、比屈折率差をパラメータとして、TE波およびTM波の純粋屈曲損と偏波依存損、偏波クロストークを詳細に明らかにした。 導波路側壁のラフネスが伝搬特性に及ぼす効果については、相関長が伝搬特性に及ぼす影響を明らかにした。その結果、TE波、TM波のいずれでも、実際の製造で生じる相関長である50ミクロン程度で、屈曲損が最大となることを見出した。加えて、ラフネスに伴う散乱損はTE波でより顕著になることを明らかにした。 さらに、提案した空気界面からわずかにコアを埋め込んだSi細線導波路と石英系導波路とを接続する手法に関して2種類の方法を検討した。いずれもテーパ導波路型スポットサイズ変換器を用いたものであり、一つはエバネッセント波を利用して垂直に結合させる方法であり、もう一つは、縦続接続する突き合わせ結合である。垂直結合型では波長特性、モード依存性を検討した。突き合わせ結合に関しては、コアの軸ずれの許容範囲を検討した。 発展的課題として、Si細線導波路を用いた偏波変換器を広帯域に動作させる設計指針を明らかにした。消光比特性が双峰性となるコア寸法が存在することを見出し、光通信波長帯全域で動作する変換器を設計できることを明らかにした。
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