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2017 年度 実施状況報告書

メタマテリアル技術を用いたリコンフィギュラブルRFスイッチの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K06407
研究機関サレジオ工業高等専門学校

研究代表者

水谷 浩  サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10589914)

研究分担者 本城 和彦  電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 客員教授 (90334573)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードマイクロ波 / メタマテリアル / リコンフィギュラブル / RFスイッチ
研究実績の概要

本研究はメタマテリアルのアクティブ化技術を応用した全く新しいスイッチとして周波数の切り替えも可能なリコンフィギュラブルRFスイッチを世界で初めて提案し、その回路理論を構築することを目的としている。
平成29年度はCRLH-TL(Composite Right-/Left-Handed Transmission Line)のアクティブ化技術を用いて、周波数の切り替えも可能なスイッチ回路の提案と実証の研究を進めた。具体的には直列容量を高抵抗ゲートバイアス回路を有するFETに置き換えた従来の方法に加え、今年度は並列容量も高抵抗ゲートバイアス回路を有するFETに置き換えた。並列のFETによるオフ容量と並列のインダクタとの並列共振の有無によって、高い周波数帯の透過の有無を切り替えることができることを発見した。実証回路の設計・試作・RF評価を行い、提案回路の妥当性を検証した。
実証回路は8 GHz付近と26 GHz付近の帯域を切り替えることができ、それぞれの周波数帯においてON/OFF動作を確認することができ、設計通りの動作を行うことを実証できた。評価したRF特性として、どちらの帯域でも挿入損失1.6 dB以下、アイソレーション13.3 dB以上を得ることができた。本研究成果は国際会議 2017 IEEE Compund Semiconductor Integrated Circuit Symposiumにて発表した。
以上述べたとおり、本研究では当初の予定通りの成果を得ることができた。本研究を通してメタマテリアル技術を用いた周波数帯域切換え型スイッチ回路にはさらにバリエーションがあることがわかってきたため、理論構築、設計指針構築とあわせて、本研究の成果をより一層充実させる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、平成29年度は、高周波回路シミュレータを用いることにより、CRLH線路の等価回路の並列容量をFETで置き換えることで世界で初めて帯域切換え型RFスイッチ回路を創出することができた。低い周波数帯と高い周波数帯を切り替えることができ、それぞれの周波数帯でON/OFFの切り替えが可能であることがわかった。提案の妥当性を確認するため回路を設計・試作し、RF特性を評価したところ、ほぼ設計通りの周波数帯域切換え型スイッチ特性を得ることができた。この成果をまとめ、国際会議 2017 IEEE Compund Semiconductor Integrated Circuit Symposiumにて発表した。以上のように今年度当初計画していた通り、周波数帯域切換え型スイッチ回路を創出し実証することに成功した。この成果を国際会議にて報告すことができたため、ほぼ予定通り完了したといえる。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、提案・実証したスイッチ回路について学術論文を執筆する予定である。また、今回実証した回路以外にも周波数帯域切換え型RFスイッチ回路はバリエーションが存在することがわかってきており、平成30年度に実施予定の理論構築、設計指針構築の中で検証回路として回路バリエーションを検証する予定である。回路バリエーションに関する成果は国際会議に投稿する予定である。また、平成30年度は当初の予定通り、本研究の成果をさらに発展させて、バラクタダイオードを並列回路に組み込むことで周波数の連続的変化を可能とする回路を提案・実証する予定である。平成31年度には当初の計画通り、FETとダイオードを用いてメタマテリアル技術を用いたリコンフィギュラブルRFスイッチ回路の実証を行い、研究成果を国内外に発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、年度末時点で学術論文の執筆前であることから論文掲載費110千円が発生しなかったこと、また、国際会議に投稿する前に英文校閲に出さなかったことから英文校閲費用60千円が発生しなかった。さらに、高周波部品50千円が未使用であったことなどが次年度使用額が生じた主な理由であった。
翌年度請求分助成金1100千円とあわせて以下のように使用する計画である。年間の使用計画は、基本的には科研費申請時記載の内容からシミュレータライセンス費用を削除した内容となるため、この計画通り進める予定である。ただし、今年度の進捗状況から、次年度は大信号評価を強化する必要があることが分かった。次年度は大信号評価のための治工具の購入費用として繰り越し分200千円をあてることで次年度以降の研究成果の質向上を一層図っていく計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] FETとバラクタダイオードを用いた新たなリコンフィギュラブルフィルタ回路の提案2018

    • 著者名/発表者名
      中丸靖崇、水谷 浩、瀬下拓也
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] A Novel Two-Dimensional Changeover GaN MMIC Switch for Electrically Selectable SPDT Multifunctional Device2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Mizutani, Ryo Ishikawa, and Kazuhiko Honjo
    • 学会等名
      2017 IEEE Compund Semiconductor Integrated Circuit Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] 複数のFETを用いた新たなアクティブCRLH伝送線路の提案2017

    • 著者名/発表者名
      瀬下拓也、中丸靖崇、水谷 浩
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会

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公開日: 2018-12-17  

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