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2018 年度 実施状況報告書

マイクロリング共振器を利用した集積化テラヘルツ光源のシステム検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K06410
研究機関国立研究開発法人情報通信研究機構

研究代表者

古澤 健太郎  国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 主任研究員 (40392104)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード光マイクロリング共振器 / テラヘルツ / 窒化シリコン
研究実績の概要

本研究は、高Q値導波路型光マイクロリング共振器を活用した新しいタイプのテラヘルツ波光源を実現し、その周波数安定性を評価することを目的としている。 昨年度から引き続き、窒化シリコン系材料をベースとした導波路型マイクロリング共振器を設計・作製し、その評価を行った。デバイス作製技術の向上によって、光通信波長帯において異常分散特性を呈する高アスペクト比光導波路において、Q値~10^6を観測した。また、2色励起による四光波混合の変換効率の強度依存性を定量的に調べることにより、非線形定数の評価も行った。さらに数10 mWの励起パワーにおいて、カスケードパラメトリック発振によるモード間隔400 GHzの周波数コムの発生を確認した。これらの結果と、スプリット・ステップ・フーリエ法による非線形パルス伝搬数値解析結果を比較検討し、数100 mWの励起パワーで、散逸性ソリトンが発生できる見込みが得られた。入射効率は50%程度まで改善されているため、この励起パワーは十分に達成できる範囲であると考えている。

今後は、周波数コムから狭線幅光学フィルタで切り出した2色のビート光を用いてテラヘルツ波の発生と評価を行いつつ、ソリトン発生に必要な励起光源波長掃引技術の検討などを行い、テラヘルツ波の周波数安定性向上を目指す。また、パラメトリック発振の長期安定性を改善すると共に、近赤外線波長域の周波数基準を利活用したテラヘルツ波の周波数安定性評価を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

パラメトリック発振が実現されたことで、テラヘルツ波を発生する基本的要素は整った。しかし、周波数安定性の高いテラヘルツ波を発生するためには、ソリトン発生によるパラメトリック発振のモード間位相同期を実現し、シードとするモード間の位相安定性を改善する必要がある。また、励起レーザの周波数ドリフトに起因するパラメトリック発振の長期安定性も向上していく必要がある。一方で、周波数モード同期ファイバレーザと光周波数基準となる周波数安定化レーザへの位相同期が実現できたことから、モード同期レーザの周波数コムを参照光として利用することにより、パラメトリック発振の長期安定性の改善、位相同期を行うための励起レーザの波長掃引手法の最適化、テラヘルツ波の周波数安定性の評価などが簡便化され、研究を加速できることが期待される。

今後の研究の推進方策

テラヘルツ波のシードとなるモードの適切な波長選択を行い、UTC-PDを用いてテラヘルツ波発生を評価する。パラメトリック発振後に励起用波長可変レーザの波長安定化を行う手法によって、励起光源の波長ドリフト低減を行い、長期安定性の改善を試みる。周波数分割などの手法を用いて、テラヘルツ波のシードとなるモード間の周波数安定性評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

テラヘルツ波発生に使用する光学部品の納期が、当初の予定よりも時間がかかることが判明し、調達の遅れから未使用分が発生した。次年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Hot-wire CVD based SiN films for linear and nonlinear photonics device applications2018

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Furusawa, Yoshimi Yamashita, Kanna Aoki, Norihiko Sekine, Akifumi Kasamatsu, Yoshinori Uzawa
    • 学会等名
      Advanced Solid-state Lasers 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] cat-CVD法によるSiN膜を用いた光リング共振器の光学特性2018

    • 著者名/発表者名
      古澤健太郎、山下良美、青木画奈、関根紀彦、笠松章史、鵜澤佳徳
    • 学会等名
      第79回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2019-12-27  

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