研究課題
本研究は,全二重無線中継伝送の性能劣化要因である自己干渉を抑圧する手法を開発するものであり,(1)ブラインド干渉抑圧法, (2)自己干渉,符号間干渉,マルチユーザ干渉の同時抑圧,(3)送受信回路の不具合の影響評価,(4)無線電力伝送の利用の4点について検討を行い,前年度までに研究成果が得られている.具体的には,まず,通信路が既知の場合の全二重中継局について,自己干渉と符号間干渉を同時に抑圧する手法を考案し,優れたスループットが得られることを確認した.次に,通信路が未知の場合の全二重中継局について,ブラインド干渉抑圧法を考案し,送受信回路の不具合が存在する場合の自己干渉抑圧能力を確認した.さらに,全二重伝送を行う基地局によるマルチユーザシステムについて,自己干渉とマルチユーザ干渉を含む種々の干渉を抑圧するためのフィルタ設計手法を考案し,その有効性を確認した.さらに,全二重中継局における無線電力伝送方式を二種類考案し,送信電力を有効に利用できることを示した.得られた成果は,次世代無線通信の周波数利用効率向上に一定の知見を与えるものである.特にパイロット信号を不要とするブラインド手法は,想定外の環境変動に自律的に適応しながら干渉を効率的に抑圧できるもので,高速大容量通信システムの実現に貢献し得るものである.前年度中に,(1)と(3)の成果をまとめた論文,(2)の成果をまとめた論文,(4)の一部をまとめた論文の3通を投稿していたが,最終年度はこれらの論文の修正を行い掲載に至った.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
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