研究課題/領域番号 |
17K06419
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 隆太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10334517)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 量子通信 / 無線通信 |
研究実績の概要 |
2018年9月から10月に研究代表者はスペインの共同研究先に滞在し、無線通信において必要になる符号化法について検討を行った。特に、送信機における送信エネルギーを非常に低く抑えた場合電磁波は量子的な振る舞いを示すようになるため、そのような状況下において通信路雑音による悪影響を取り除いて受信機においてメッセージを正しく復号するための一つの手段としてentanglement-assisted quantum error-correcting code (EAQECC)に注目をした。共同研究先との検討の結果、EAQECCの基礎的な理論化が十分に行われておらず、その分野の研究者が正しいと仮定して研究を進めている事柄のいくつかの正否が未検討であることがわかったため、それについて検討を行い、正しいことを厳密に証明した。その研究結果をQuantum Information Processing誌(インパクトファクター2.2)に投稿し、2018年度内に採録通知を受領した(掲載は2019年度を予定)。これらの研究打ち合わせと掲載予定論文のオープンアクセス化に伴う費用を科学研究費から支出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度目は符号化法を新たに提案しその効果を検証することを予定していたが、外国との国際共同研究で概ね予定通り進めることができ、査読付き学術雑誌から採録通知を受領したので、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、送信機での送信エネルギーが低く電磁波が量子的な振る舞いを示す場合における符号化法について検討を行う。無線通信の特徴の一つに第三者による傍受の容易さが挙げられる。傍受された場合伝達しようとしているメッセージが第三者に知られる場合もあり、メッセージに秘匿性が要求される場合、何らかの符号化によって秘匿性を保証することが必要になってくる。2019年度はこのような秘匿性を実現する符号化について検討を行い新たなる有用な知見を生み出していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の成果を発表した学術論文をオープンアクセス化するための費用が2019年度予算での支払いになるため、その分を2018年度あえて使わずに残したため。
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