研究課題/領域番号 |
17K06423
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高野 泰洋 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70782746)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Compressive estimation / Unknown interference / massive MIMO / ICA / PCA / Physical layer security |
研究実績の概要 |
セキュア伝送は,MIMO Precoding を用いた正規受信者へのチャネル容量の増加,および Artificial Noise (AN) 伝送による傍聴者への干渉を併用して実現される.空間Precodingのためには,Uplinkチャネルを高精度に推定する必要がある.しかし,近隣システムからのANや傍聴者からの妨害波などにより,未知干渉下におけるMIMOチャネル推定は非常に困難である. この課題に対する解決策を,本プロジェクトはIEEE Trans. on Signal Proc.誌に"A Spatial--Temporal Subspace-Based Compressive Channel Estimation Technique in Unknown Interference MIMO Channels" を出版した.当該論文は,多くの先行研究が想定する送受信双方向のPrecodingに頼ることなく未知干渉を含むMIMOチャネルに対する推定法を提案した. 具体的には,まず,従来の主成分分析(PCA)法に比べ,独立成分分析 (ICA)の概念に基づく空間パラメータ解析が有意に推定精度向上可能なことを行列代数的に証明した.一方で,ICAに基づく推定法は未知干渉の影響を被り易いが,本研究は,L1正規化を導入しその問題を改善した.しかし,Minimum mean square error (MMSE)規範で形式化されるPCA/ICA法はL1正規化パラメータを事前に指定する必要があり,Non-deterministic Polynomial-time (NP)困難問題を招く.そこで,本研究は共分散行列の算出方法を工夫し,正規化パラメータを事後に指定可能なL1MMSE法を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記IEEE TSP誌では,非常に厳格な数学的証明および検証結果が求められる.このため,初回投稿から出版までに複数回の査読審査を経て,通常1年以上かかる.本プロジェクトでは,既存法との比較と提案法の有効性を,計算機実験により検証した.計算資源が限られていたこともあり,一般性を示すための複数のMIMOシステムサイズを想定した検証,貪欲法に基づく既存法との比較実験に予定以上の工数を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
チャネル推定問題は空間Precoding送信と双対問題である.これまで得られた知見を活用し,既にMIMO-Multiple Eavesdroppers (ME)環境でのセキュア伝送に関する研究成果を IEEE Globecom 2020 へ投稿し,現在査読審査中である.PCA/ICA及び圧縮センシングといった統計的信号処理アプローチを利用して,当該研究成果を更に発展させ,本年度内にPassive Eavesdroppers を想定したセキュア伝送法の検討を完了させる計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
Passive eavesdroppersを含むセキュア伝送問題に関し,これまで得られた成果を応用し,計画当初に比べ検討内容を拡充した研究を遂行中である.この成果発表のため,当該差額予算の執行を計画している.
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