研究実績の概要 |
(1)複数電子透かし方式による埋め込み方式による実験的検証 本研究では、結託攻撃の一つである平均化攻撃の抑制のため、画像に人間が検知できない程度の幾何学的変換を加えることで、平均化攻撃時に画質劣化を発生させる方式を検討している。この幾何学的変換の方法として、Seam Carvingを基にした領域分割を行い微小な幾何学的変換を加える。画像の関心領域(ROI, Region of Interest)を対象にして、幾何学的変換を施すことで、平均化攻撃時の画質劣化の効果を向上させることが可能である。 Seam Carvingでは、画像勾配に基づくエネルギー場を求め、その経路上のエネルギーの総和が最小になるように経路探索をして画素値を削除または追加する経路を求める。この経路は画素単位であるため、探索処理に時間がかかり、その記録するデータ量が多いという問題がある。そのため、Seam Carvingに画像の四分木分割を適用し、Seamラインの探索とデータ量の効率化を行った。その結果、Seamラインの探索および記録の効率を向上できることが確認した。 また、Seam Carvingを基にした幾何学的変換において、幾何学的変換を加えない領域もあるため、ここに優先度が高い埋め込み情報は画像の同一位置に埋め込むことで、平均値攻撃後にも残存可能であると考えられる。
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