研究課題/領域番号 |
17K06439
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
池原 雅章 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00212796)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 位置姿勢推定 / 回転スケール推定 / ラドン変換 |
研究実績の概要 |
物体検出は工業上の大きな重要テーマであり、国内外で多くの研究が行われている。しかし位置・姿勢推定についてはその重要性にも関わらず多くの研究が行われているとは言い難く、国外よりも国内の研究者によって活発に研究が行われているのが現状である。 平成30年度は回転・スケール変換を含む姿勢推定を行った。従来POCの改良版としてLog-Polar変換を用いて、回転及びスケールの推定を可能にした回転不変位相限定相関(RIPOC)が提案されている。しかしLog-Polar変換はサンプリングに粗密が生じ、この時点で誤差が生じる。従って回転・スケール量にも誤差が生じ、高精度な姿勢推定は不可能である。そこで均一なサンプリングを行うことができ、トモグラフィー等で用いられているラドン変換を適用する。ラドン変換は回転角に対して周期的であり、同一の対象が回転すると、そのラドン変換は、回転量分だけ水平にシフトする。従って、横軸に対して、前年度提案し成果の得られた1次元の位相特性の近似による位相限定相関法を適用することにより、分数精度のシフト量を推定でき、その結果高精度な回転量推定が可能になった。次に得られた回転量によってラドン変換画像を補正すると、縦軸に関する相似画像が得られるから、縦方向の相似比がスケールに相当する。このようにラドン変換を用いることにより、よりロバストで高精度な姿勢推定が可能となった。最終的には対象画像の回転・スケールを補正したのち、2次元位相限定相関法により高精度な位置推定が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んでいる。ラドン変換によりシフト・回転・スケール変換の高精度な推定が可能となり、その成果をIEEE Accessに投稿した。査読のやり取りの中で、査読者から提案法の問題も指摘され、従来法の引用から、推定の順序に関して大きな進展があった。すなわちフーリエ変換を利用して位置普遍性を担保した状態で、回転スケール推定を行い、その補正の後2つの物体のシフト量を推定することにより、よりロバストで高精度な推定が可能となった。この修正により投稿論文は採択された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、それまで得られた知見を利用して、より高性能な応用研究を行う。課題研究の高精度さを示すために、ステレオビジョンによる奥行き推定と複数の低解像度画像から高解像度画像を再構成する超解像の応用研究を行う。 1)ステレオビジョン:平行移動量推定の性能を見極めるために、これまで不可能だった低解像度のステレオ画像から高精度の移動量推定により、高精度の奥行き推定が可能になることを示す。 2)超解像度技術:複数フレーム超解像技術についてはこれまで多くの研究が行われている。しかしそのほとんどが平行移動のみを考慮しており、任意姿勢の複数画像からの超解像度についての研究は殆ど行われていない。本課題では任意の姿勢で取得した複数画像から、提案法によって位置合わせを行い、従来法では復元できないような高解像度画像を復元できることを示す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は2回の国際会議で発表し大きな反響が得られた。2019年度は発表予定のICASSPを始め、ICIP,VCIP等の高いレベルの国際会議で発表予定であり、そのために当該年度の支出を抑制した。
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