まず、2つの対象画像に対してフーリエ変換を行い、正規化パワースペクトルを得る。その複素数 から位相を求め、傾きを求めることにより移動量が得られる。次に姿勢推定を行うためにラ ドン変換を行い、回転軸の一次元正規化パワースペクトルから回転量が得られ、補正後の縦 軸からスケール変換係数を求める。1年目は平行移動に関する成果が得られた。 次に2年目は回転・スケール変換を含む姿勢推定を行った。ラドン変換は回転角に対して周期的であり、同一の対象が回転すると、そのラドン変換は、回転量分だけ水平にシ フトする。従って原理的には横軸に対して、1次元の提案法を適用すれば、高精度 な回転量推定が可能になると考えられる。次にこの回転量を補正すると、縦軸に関する相似 画像が得られるから、その比がスケールに相当する。このようにラドン変換を用いることにより、よりロバストで高精度な姿勢推定が可能となった。 これらの成果をもとに最終年度は end-to-end の処理を行うために調整を行い、最終的に以下の姿勢推定フローを構築した。1. 対象画像をフーリエ変換し、ラドン変換を適用することで回転量推定を行う。2. 対象画像そのものにラドン変換を適用し、推定回転量を考慮してスケール推定を行う。3. これらのパラメータを用いて対象画像を正規化し、移動量推定を行う。 提案課題と、SURF や BRISK などの特徴ベースの従来法や、極座標変換に基づく方法と性能 比較を行った結果、推定精度、評価誤差ともに従来法を大幅に上回ったのみならず、処理速度についても 1次元処理が基本となるため、高速な処理が可能となった。
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