研究課題/領域番号 |
17K06443
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
八嶋 弘幸 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (30230197)
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研究分担者 |
細谷 剛 東京理科大学, 工学部情報工学科, 講師 (60514403)
五十嵐 保隆 東京理科大学, 理工学部電気電子情報工学科, 講師 (80434025)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光CDMA / 量子ドット光増幅器 |
研究実績の概要 |
全光通信に向けて電気信号への変換を伴わない全光信号処理や全光信号処理を行う光CDMAが注目されている。光CDMAシステムにおいて,全光デバイスからなる干渉抑圧器を提案した。提案した干渉抑圧器はマッハツェンダー干渉計の両アームに量子ドット光増幅器をそれぞれ配したものであり、波動方程式とレート方程式を数値解析することにより量子ドット光増幅器の動作を解析し、提案する干渉抑圧器が閾値処理機能を有する全光機能デバイスとして動作することを確認した。シミュレーションによりランダムデータを送信し受信信号からアイパターンを求め動作を確認した。また提案デバイスが全光CDMAに適用可能か検証するため、光CDMAのクロックと信号のタイミングのずれの影響も評価した。また、光CDMAの干渉を除去するデバイスとして、全光信号処理の実現のための最も基本的な素子として全光NORゲートがある。本研究では、量子ドット半導体 光増幅器の内部で生じる非線形光学効果を用いた全光NORゲートを構築し、シミュレーションにより性能評価を行った。 これらに加えて、光CDMA信号の受信後の信号処理デバイスとして、多入力の全光OR回路を提案し、簡単な構成で、かつ高品質で動作することを確認した。このデバイスにより、受信後の光信号処理部において、回路が簡略化することができる。一方、セキュリティ対策として、暗号分野で注目を集めている超軽量暗号に着目し、超軽量ブロック暗号QTL-64の不能差分攻撃耐性の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、当初の計画通り、3.干渉を抑圧した全光CDMAシステムの特性評価 4.干渉を抑圧した全光CDMAにおける暗号攻撃法に対するセキュリティ強 度の評価 を主として実施した。長周期符号を用いた光CDMAシステムの符号の相互情報量特性について補足的な検討も行った。また、セキュリティ対策として、超軽量ブロック暗号QTL-64の不能差分攻撃耐性の評価を行った。以上の理由により、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、5.提案した光 CDMA における量子ドット光増幅器の不均一性の影響の検討を行い、提案研究の完成を目指す。すなわち、干渉抑圧に用いる2つ の量子ドット光増幅器の特性が異なる場合の検討を行う。量子ドットの表面密度および線幅増大係数に差異があるという条件の下、注入電流の値を変化させながら干渉抑圧能力を確保する。数値解析およびシミュレーションによりこれらの検討を実施する。提案システムのうち、QD-SOA の部分はソフトウェアであるOptiSystemで解析を行い、その他の部分について はランダム信号を発生させながら、シミュレーションによりアイパターン、消光比、誤り率を求める。以上の研究計画により応募する研究の最終結果が得られる。
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次年度使用額が生じた理由 |
507円という端数が残ったため、次年度使用とした。
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