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2018 年度 実施状況報告書

光無線通信へのラゲールガウスビームの適用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K06445
研究機関日本女子大学

研究代表者

小川 賀代  日本女子大学, 理学部, 教授 (20318794)

研究分担者 前原 文明  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80329101)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード光無線通信 / ラゲールガウスビーム / モード多重伝送
研究実績の概要

本研究は,光無線通信において問題となる,大気乱流に起因した伝送特性劣化を克服すべく,ラゲールガウス(LG)ビームに着目し,シンチレーションの影響を軽減するモードを見出し,モード間干渉の小さいモードの組み合わせにより多重伝送を行う方式を確立することを目的としている.
平成30年度は,真空中を想定した時のモード間干渉の小さいモード組み合わせの検討と,多重通信を実現するのに必要な高効率な多重分波器の設計を行った.まず,ラジアル次数n = 0, 1, ... , 10,アジマス次数m = -5, -4, ... , 5の範囲において,LGモード多重におけるクロストークの小さいモードの組み合わせを検討した.その結果,クロストークを抑えた組み合わせルールを導いた。更に,モード分波器の簡易化を実現するために1枚のホログラムで複数のモード検出可能な多重ホログラムに着目し,キノフォーム型計算機ホログラム(Computer Generated Hologram:CGH)を用いて設計を行うことで,高効率に分波できることがシミュレーション実験より確認できた.
また,今年度は,電波におけるLG ビームのモード多重伝送方式の検討として,同一モードで複数のストリームの多重を可能としたUCA(Uniform Circular Array)によるOAM-MIMO方式を取り上げ,その伝送特性を向上すべく,逐次干渉除去(SIC : Successive Interference Cancellation)の適用を図る方式の提案を行った.具体的には,異なるアンテナ径で受信したOAM信号間に受信電力差が生じることに着目し,SICにより複数のストリームからなるOAM信号を分離することで,空間ダイバーシチ効果を獲得し,伝送特性の向上を図るものである.計算機シミュレーションによる特性評価の結果,提案方式のシステム容量は,SICを適用しない通常方式のそれよりも良好となり,その効果は通信距離が大きくなるにつれて顕著となることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度以降の研究テーマとして,「LG ビームでモード多重を施したときの特性評価」を計画していた.予定通り,光無線通信におけるモード多重のクロストークの評価を行い,クロストークの小さいモードの組み合せ方法を導くことができた.さらに,モード多重を実現するにあたって必須となるモード分波器の設計も行い,高効率に分波できることがシミュレーションにより確認できた. これにより,研究計画の「2-1. モード間干渉の評価(計算機シミュレーション)」,「2-2. モード多重を施したときの伝送特性の取得・評価(計算機シミュレーション)」が実施できた.
また,電波におけるLG ビームのモード多重伝送方式の検討として,同一モードで複数のストリームの多重を可能としたUCA(Uniform Circular Array)によるOAM-MIMO方式を取り上げ,その伝送特性を向上すべく,逐次干渉除去(SIC : Successive Interference Cancellation)の適用を図る方式の提案を行い,SICを適用しない通常方式のそれよりもシステム容量は良好となり,その効果は通信距離が大きくなるにつれて顕著となることがわかった.
これらの結果より,おおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

2019年度は,2018年度のシミュレーション結果を踏まえて,研究計画通り「2-3. モード多重を施したときの伝送特性の取得・評価(実験)」を推進していく.また,引き続き,光無線通信の検討に留まらず,UCA(Uniform Circular Array)アンテナによるOAM信号の空間的な電力・位相分布と受信電力特性の検討,モード多重伝送方式の検討も進めていく.

次年度使用額が生じた理由

(理由)昨年度,論文掲載料を計上していたが,研究分担者の所属先から掲載料を支援してもらえることになり,支払いが発生しなかった.また,旅費についても,奨学金を得ることができたため,支払いが生じなかった.人件費については,育児休暇が延長されたため,支払いが発生しなかった.
(使用計画)今年度は,既に国際会議の出張が予定されており,支出予定である.また,人件費も育児休暇から復帰予定のため,支払いが発生する予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] ラゲールガウシアンビームを適用した光無線通信システムの特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤彩,小川賀代,前原文明
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌 B

      巻: 2 ページ: 80-89

    • DOI

      10.14923/transcomj.2018GTP0007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Investigation of mode demultiplexer for Laguerre-Gaussian mode multiplexing in free space2018

    • 著者名/発表者名
      Ayano Sakamoto, Kayo Ogawa
    • 雑誌名

      SPIE proceedings: Laser Communication and Propagation through the Atmosphere and Oceans VII

      巻: 10770 ページ: 1077011

    • DOI

      10.1117/12.2322070

    • 査読あり
  • [学会発表] ラゲールガウスビームによる光無線伝搬特性2019

    • 著者名/発表者名
      小川賀代
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Investigation of mode demultiplexer for Laguerre-Gaussian mode multiplexing in free space2018

    • 著者名/発表者名
      Ayano Sakamoto, Kayo Ogawa
    • 学会等名
      SPIE Optics+Photonics
    • 国際学会
  • [学会発表] UCAによるOAM伝送においてモード多重数がシステム容量に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      齋藤周平, 菅沼碩文, 小川賀代, 前原文明
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会
  • [学会発表] UCAによるOAM-MIMO伝送への逐次干渉除去の適用に関する一検討2018

    • 著者名/発表者名
      齋藤周平, 菅沼碩文, 小川賀代, 前原文明
    • 学会等名
      電子情報通信学会無線通信システム研究会
  • [学会発表] Influence of the number of uniform circular arrays on system capacity in OAM multiplexing2018

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Saito, Hirofumi. Suganuma, Kayo Ogawa, Fumiaki Maehara
    • 学会等名
      The 21st International Symposium on Wireless Personal Multimedia Communications (WPMC2018)
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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