研究課題
令和元年度は計画の最終年度として,プロジェクト全体の完成を目指し,プロジェクタによる壁面投影に関して,画像識別とデータ埋め込みを併用する方式の完成に注力した.また,サイネージでの利用を想定した,読み取り条件を最適化する手法についても検討した.具体的な成果として,まずデータ埋め込み方法を変更した.これにより,印刷画像についてはほぼ100%に近い検出率を達成できた.プロジェクタ投影画像についても,画像識別を併用することでほぼ100%に近い検出率を達成できため,ロゴマークをベースとするシステムについて検討を行い,一定の成果を得た.誤り訂正符号に関する検討も行い,一定の効果を認めることができた.サイネージについては,動画像を表示可能であることと読み取りに失敗しやすいデータを利用して,読み取りが困難な場合は自動的に読み取りを回避する方式を開発した.スマートフォンでの実験を行い,その頑健性について評価し効果があることを確認した.最終年度として,性能の評価が必ずしも十分でない点はあるものの,当初の予定は達成できたと考えている.研究期間全体として,当初の目的であった,印刷画像,プロジェクタ投影画像,サイネージ表示画像にマーカ情報を埋め込み,そのデータを検出する手段とするための基本的な手法の開発に成功したと考えている.特に,画像劣化の激しいプロジェクタ投影画像に対して,高いデータ検出率を達成することができた.また,タブレットなどに実装を行い,有効性の検証もおこなった.さらに,画像識別とデータ埋め込みを併用する手法を開発し,双方の欠点を克服することで柔軟性と頑健性に優れた方式を開発することに成功した.また応用としては,ロゴマークをベースとする案内システムの検討を行い,同種のマーカに対して異なる情報を持たせるシステムの開発を実現できた.以上から研究目的を達成できたと考えている.
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
日本画像学会誌
巻: 第58巻 ページ: 233-241
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E102.A ページ: 1920-1924
10.1587/transfun.E102.A.1920