研究課題
昨年と同様に理論研究中心に活動を行ったが、コロナの影響で学会開催が不明瞭な状況に陥り、計画していた学術成果が得られなかった。研究内容は適用する署名に関する強度評価であり、ネットワーク通信に影響を与えないように計算コストを下げる限界について検討するため、LWE問題の解法であるBKZアルゴリズムのパラメータ設定に関して取り組んだ。先行研究からはパラメータサイズが小さい場合は容易に解けないはずが、場合によっては解けることがあることが指摘されており、秘密鍵のサイズを限界までに小さくすると予想外に安全性が低下する可能性があった。本研究の結果からは、想定している鍵のサイズであれば、このような安全性低下が生じないことを計算機実験から明らかにし、また、先行研究で指摘されている問題の原因についても解析している。一方で昨年度までは独自のネットワーク網の構築を前提とした議論を進めて来たが、現在運用されているネットワークとの併用も考慮に入れて、AS単位での自動復旧に対する検討を行った。年度末に生じたロシア・ウクライナ状況を鑑みて、例えば人工衛星を補助的なノードにする、またはハブ化している中心的なASの代わりを複数の小規模ASで代替して運営維持を図るなどのシナリオである。AS間通信のデータベースはオレゴン大学が行なっているRouteViewsProjectが公開しており、これを利用することとした。タイムリーな研究テーマであり、既にある程度の研究成果が見込める状況にある。上述した理論研究の成果の挽回と本研究成果の発表のため、1年の延長を申請している。
3: やや遅れている
投稿予定であった学会の開催が不明瞭であり、論文の執筆作業のスケジュールが大幅に遅れた。また、別の学会への投稿も検討したが、ややスコープ外の話題であり採択に至らなかった。しかしながらShort paperでの採択もあり、研究内容の意義に関しては十分であると考えている。
既に研究成果が出ていたり、または直近でまとめられる状況にあり、予定してた国際学会への投稿を中心に行う。
1年の延長を申請しており、学会参加費及び論文印刷費として使用する予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Book cover International Conference on Information Systems Security
巻: LNCS 13146 ページ: 173~184
10.1007/978-3-030-92571-0_11