研究課題
前年度までに検討をしてきた時空間変動を示すオーロラ現象に対する動的輪郭モデルの一種であるレベルセット法の評価を行った。特に信号のランダム性を表すスペクトルエントロピー法を用いた前処理を追加した。これにより、観測画像を模擬したSN比-5~+5dBのテスト画像に対して、2倍の強度差をもつ複数のオブジェクトがあった場合でも強度の小さいオブジェクトが埋もれることなく抽出できることを明らかにした。レベルセット法の高速化のため、前処理として対象オブジェクトの初期輪郭を大まかに囲うことで処理時間80%程度の低減も得た。また、観測される電磁波信号に含まれるパルス性雑音抑圧に対して、新たに機械学習の手法であるオートエンコーダー (AE) を導入した。AEを用いて雑音区間と非雑音区間を自動識別し、学習用データを自動生成する。雑音除去できるよう学習させたAEを用いて雑音除去を行い、約16dBのSN比改善の結果を得た。そして、地球近傍宇宙の波動粒子相互作用発生域の時空間変動を示すと考えられる特徴的なオーロラ現象に対して、磁気圏の電磁波コーラスのレイトレーシング解析を行い、観測で得られているオーロラ現象の拡大縮小の空間変動を再現するパラメータについて検討を行った。空間変動をレイトレーシング解析から見積もるためには、何千ものレイを追跡する必要があるため、高速化のため並列化処理を図った。並列化を図ったレイトレーシング解析より、コーラス波動の発生源が面波源と考えると観測結果を再現する拡大縮小の空間変化を得られないということを示唆する結果が得られた。
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電子情報通信学会誌
巻: 102 ページ: 1129-1134