レーザ光源の光周波数掃引による光距離センサにおいて,測定精度の向上と高速化に関して研究を行った。本システムは,参照光と測定物体からの反射光の干渉信号を周波数解析することにより距離を求める方法である。本システムではレーザ光源の光周波数を時間的に線形掃引する必要があるが,実際には光周波数掃引に残存する非線形性のために,空間分解能および測定精度が大きく劣化する。そこで本研究では,補助干渉計を設けて,その干渉信号よりサンプリング信号を生成し,実際のセンシング信号をサンプルしFFT解析を行うとともに,FFT解析後の信号のピーク付近のデータ補間により,より高精度で距離を求めるアルゴリズムを開発した。 光源には注入電流変化による光周波数変化量が大きな面発光レーザ(VCSEL)を光源に用いた。光CTにも応用できる波長1.31μmのVCSELを用い,空間分解能460μm,距離測定精度の標準偏差2.7μmを達成した。 形状計測のために,レーザ光をガルバノスキャナでスキャンして測定対象までの距離分布を測定するが,高速化のために光周波数掃引速度を向上させると,電子回路の制限などにより形状計測結果にスパイク上のノイズが現れた。各種フィルタの適用を検討し,測定結果にメディアンフィルタリングを行うことで形状計測結果にボケを生じさせずに高品質化することに成功した。 さらに,レーザレーダへの適用も考え,干渉性の高い外部共振器レーザを光源に用いたシステムを構成し,1点測定ではあるが,空間で200m遠方の物体までの距離計測に成功した。この結果は,自動運転自動車などに搭載されるLiDARへの展開が可能であることを示している。
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