研究課題/領域番号 |
17K06476
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
横井 直倫 旭川工業高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (60353223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 光学力 / 粒子制御 / 血液成分分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、レーザーの有する光学力により血液中のナノサイズの粒子状不純物を非侵襲に除去でき、同時にマイクロサイズの血球成分(赤血球、白血球、血小板)の計数と色彩計測により血液成分を定量分析できる輸血用血液の浄化・成分分析システムを構築し、さらに分析結果の共有を目的とした本システムのオンライン化を目指して遂行された。 平成30年度は、まず血液中の赤血球、白血球、血小板を新設の生物顕微鏡(観察倍率40~1000倍)と高速度カラーCCDカメラ(640×480画素、フレームレート320fps、補助照明機能付き)によりマイクロレベルの空間分解能でブレを生じずに撮影して高精度に計数し、同時に赤血球の色彩から分光計測法に基づきヘモグロビン濃度を計測できる血液成分検査用画像計測系を構成した。 さらに、ウマ保存血液を対象として、上述の血液成分検査用画像計測系により各血球成分の計数試験およびヘモグロビン濃度の解析試験を実施した。前者の手順としては、まず血液を流しながら血液画像を時系列に多数枚撮影し、各画像に二値化処理を施した上で円体計測に基づき各血球成分を計数し、さらに各成分の1画像当りの平均個数を単位体積当りの個数に換算した上で、最終的に血液成分の分析結果を取得した。また後者の手順としては、血液画像中の赤血球の色彩より、分光計測法に基づきヘモグロビン濃度を算出した。以上の結果として、本画像計測系が血液成分の分析ならびにヘモグロビン濃度の計測に有効であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、血液成分検査用画像計測系の構成に関しては、血液中の赤血球、白血球、血小板を新設の生物顕微鏡と高速度カラーCCDカメラによりマイクロレベルの空間分解能でブレを生じずに撮影して高精度に計数でき、同時に赤血球の色彩から分光計測法に基づきヘモグロビン濃度を計測できる血液成分検査用画像計測系を構成することができた。 また、血液成分検査用画像計測系の性能試験に関しては、ウマ保存血液を対象として、上述の血液成分検査用画像計測系により各血球成分の計数試験およびヘモグロビン濃度の解析試験を実施し、本画像計測系の性能を確認することができた。 従って、血球成分を生物顕微鏡と高速度カラーCCDカメラの併用により撮像し各血球成分の計数とヘモグロビン濃度計測を同時に行える血液成分検査用画像計測系の構成、ならびにウマ保存血液を対象とした本計測系の血液成分分析への有効性の確認をいずれもほぼ目的通りに実現することができたため、本研究課題はおおむね順調に進展しているものと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
血液成分検査用画像計測系の構成に関しては、現状では装置が比較的大型であるため、今後は汎用性を高めるために装置全体の小型化ならびに軽量化を図っていく必要があるものと考えている。 また、血液成分検査用画像計測系の性能試験に関しては、特にヘモグロビン濃度計測の際に比較的大きな計算時間を要する問題があるため、今後、例えば並列計算の導入等により計算の高速化を図っていく必要があるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関しては、当初は海外で開催される国際会議に参加する予定であった所を、国内で開催された国際会議に出席したため、海外への渡航分の費用が生じなかったことにより、次年度使用額が発生するに到った。平成30年度に発生した次年度使用額に関しては、その全額を平成31年度内に計画的に使用する予定である。
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