研究課題
本研究では、近赤外分光法(NIRS)による脳機能計測において、血流動態の変化を脳反応の信号から分離する補正技術と信号パターンの解析技術の統合を図り、脳反応信号の特性と反応領域の推定を行うことを目指している。本年度の研究実績は以下の通りである。(1)NIRSとfMRIの対応実験による脳反応部位の推定提案するストループGO/NOGO課題(ひらがなの文字色と文字意味の干渉効果を見るストループ効果と抑制効果を重畳した課題)を用いてNIRS計測を実施し、fMRIによる信号領域の推定の結果との関連性を評価した。脳反応部位の推定にはNIRS-SPMを適用した。酸素化ヘモグロビン濃度変化の加算平均波形の解析区間を調整した結果、fMRIとNIRSの反応部位が類似傾向を示すことを確認した。このため、提案する実験課題がNIRSによる脳機能の定量的に評価に有用と考える。(2) NIRS 計測における補正技術の改善補正技術の改善には複数箇所での同時計測が必要なため、光の照射受光を行う分岐型バンドルファイバの製作とセンサでの受光を処理する回路・信号処理システムの小型化と改良を行った。システムで取得される信号は、表層血流の影響を含んだ測定信号12種類と、表層血流の影響のみを含む補正信号17種類である。一部回路の不具合から全チャネルを同時に駆動できなかったが、姿勢変化に伴う血液量変化の影響を測定し、補正効果を検証した。補正手法は、測定信号と補正信号間の相互相関係数を用いた演算法(重み付き演算、独立成分分析)と拡散光トモグラフィの原理を応用した信号劣化低減手法(深さ選択性フィルタ)である。補正効果はセンサの頭部配置に依存し、頭表の血管分布に影響を受けることが予測された。今後、全チャネルの同時駆動し、より広い領域で血流分布の影響を把握することが、NIRSによる脳反応部位の推定の精度向上に重要と考える。
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電子情報通信学会信学技報
巻: IEICE-119 ページ: 65-68
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2019 41st Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC)
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