研究課題/領域番号 |
17K06483
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
梶田 雅稔 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所時空標準研究室, 主任研究員 (50359030)
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研究分担者 |
矢野 雄一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所時空標準研究室, 研究員 (80781765)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 量子エレクトロニクス / 原子時計 / 位相変調 |
研究実績の概要 |
携帯電話などの小型端末に搭載できるチップスケール原子時計(CSAC)の実現に際して,小型化に伴う原子共鳴のS/N 比低下は重要な課題となる.そこで,S/N比を改善する方法とし,原子共鳴の高速検出を可能とする位相変調法を開発に着手した. 初年度は位相変調における原子共鳴の高速検出できる実験装置を構築し,S/N 比の改善効果を調査した.同時に,時間応答解析アルゴリズムを用いて,高速応答の原理と実験の最適条件を調査した.その結果,実験と理論が一致し,最適となるバイアス磁場条件が存在することが明らかとなった. 実験結果からは,位相変調による高周波化によって,ノイズが低減されることが確認し,発振器の性能指標で最も重要な周波数安定度が2倍程度改善された.これに加え,提案法は,従来法に比べて,周辺回路の省電力化,小型化で重要となる原子共鳴の捕捉帯域が1桁広がることを確認した. これらをまとめ,6月に特許申請をし,7月論文投稿し,11月に論文が掲載された. そのうえで、分子イオンの振動遷移周波数のみで陽子ー電子質量比の変化の有無を評価する方法を立案し、11月に論文発表した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究目標の位相変調によるS/N比の向上とその周波数安定度測定を行い,論文化されたことが理由である. これに加えて,数値計算の結果と実験結果も一致しており,原子に印加する最適なバイアス磁場があることも理論的,実験的に示したことも大きな理由である.
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今後の研究の推進方策 |
さらなる周波数安定度改善に向けた研究を行う.特に,摂動法と密度行列に基づいた解析方法を用いて,チップスケール原子時計の長期周波数安定度の劣化要因となる光シフトを低減する検出方法の開発に着手する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品値段が予想よりも安価であったため残金が出た。その残金は、次の実験に使う物品購入に使用予定である。
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