研究課題/領域番号 |
17K06486
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 孝一 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (50452115)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サイバーフィジカルシステム / エネルギー管理システム / 電力ネットワーク |
研究実績の概要 |
サイバーフィジカルシステムとは,物理システムと情報システムが相互結合したシステムである.情報システムの計算機能力を活用した高性能な制御システムを構築することが可能である.したがって,応用は電力システム,医療,交通など多岐に渡る.サイバーフィジカルシステムでは,外部からの攻撃に対するセキュリティ対策が近年特に重要になっている.また,システムの大規模化に対応する必要もある.以上を踏まえて,今年度はサイバーフィジカルシステムの解析および制御の手法として,エネルギー管理システムの分散最適化および電力ネットワークの状態推定におけるセキュリティ強化に取り組んだ. エネルギー管理システムの分散最適化では,エネルギー管理システムを工場やビルをエージェントとしたマルチエージェントシステムとして捉えている.分散最適化では,まず,各エージェントで最適化問題を解き,アグリゲータが計算結果を集約する.次に,アグリゲータは計算結果を基に最適化問題のパラメータを調整し,各エージェントに調整したパラメータを送信する.この手順を繰り返すことで,最適化が導出できる.しかしながら,計算結果の集約の際に,データが改ざんされる危険性がある.本研究では,データの改ざんを防止するセキュアな分散最適化を実現するために,ブロックチェーンの利用を検討した. 電力ネットワークの状態推定では,推定値の残差から攻撃を検知できない不正データ注入攻撃が知られている.本研究では,状態推定に利用するセンサをランダムに選択することで,不正データ注入攻撃を検出する簡便な方法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従い,セキュリティの研究を進めている.また,平成30年度に実施予定であった分散最適化に関する研究を継続して進めている.研究成果も順調に得られていることから,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
セキュアなサイバーフィジカルシステムの設計論はIoT時代と呼ばれる現代において重要な研究課題である.研究期間を延長し,セキュリティ検証の一種であるオパシティ検証に取り組む予定である.これまでの成果を活かすことで研究を推進できると考えている.引き続き,通信,制御,セキュリティなどの幅広い研究会・国際会議に参加し,大局的な視点から研究を進めていく.また,書籍を購入し,関連分野の基礎的内容の理解を深めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画通りの成果が得られている.一方で,研究課題のより精緻な達成を目指し,研究期間を延長している.したがって,令和2年度の研究を円滑に推進するために,使用額の一部を次年度に繰り越すこととした.
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