2020年度では,電力,ガス,エネルギー,交通,上下水道を含むような超スマート社会を想定し,そのPlug & Play制御系設計のためのモデリングと制御のための理論体系として,前年度に提案したサブシステムとしてデスクリプタシステムを含むネットワーク化非線形システムの拡張および実応用に関する取り組みを行った.特に,送電ネットワークに対して,各負荷を配電ネットワークの縮約と考え,各発電機・負荷をデスクリプタシステムによって,非均質なダイナミクスの記述を行い,いくつかの計算機シミュレーションを実施した.本成果に関しては,国内学会において現状の取り組みを紹介した.しかし,当初予定していた電気自動車,風力発電などの再生可能エネルギーやロードヒーティングなどの電力・交通網も含む社会インフラシステムへの展開に関しては,新型コロナウイルスによって学内外で特殊かつ困難な状況であったため,文献の精読や多次元階層的ネットワークシステムによるモデリングなど準備的な取り組みは行ったものの十分な時間やエフォートを配当できず満足のいく成果,および対外発表には至らなかった.これらの項目に関しては,本課題の後続の科学研究費補助金である基盤研究(C)「多次元性・消散性に基づく次世代電力ネットワークのマルチスケールロバスト制御系設計」における今後の取り組みを通じて十分な成果へと発展させて,学術論文,書籍や国際会議による対外成果へと結び付けていきたい.
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