研究課題/領域番号 |
17K06488
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
陶山 貢市 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80226612)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 制御工学 / システム工学 / 制御システム / メンテナンス |
研究実績の概要 |
製造物責任や国際規格上,製造者は製品の適切なメンテナンス手法を使用者に告知する義務を負っている.しかし,国際規格では部品交換などの必須作業が列挙されているだけで,それらの作業を安全に行うための環境に関しては何も記載されていない.通常の稼動状態とその環境との間の移行も現場技術者の経験に頼っていることが多く,特にプロセス産業ではメンテナンス時に事故が多く発生する原因となっている.本研究では,工業製品及び生産現場の制御システムのメンテナンスを安全に行うための環境を作り出す技術を世界に先駆けて確立し,将来,国際規格に反映させることを目的とする. 本研究で確立するメンテナンス支援技術のプロトタイプはこれまでに公開済みである.具体的には,サブシステムのメンテナンスのための停止に対してはフォールト・トレランス設計の手法で対応する.通常の稼働状態と安全なメンテナンス環境との間の移行に関しては,切替L2ゲインをその安全性評価・管理のための指標とする.これまでにこのプロトタイプについて制御理論上の具体的実現法を開発した.これは本研究の中心的な成果である. また,本メンテナンス支援技術の安全性・実用性を向上させる研究も同時に行っている.すなわち,各稼働状態に適したコントローラへの切替えに際して,切替え後の新たに立ち上げるコントローラの初期値を切替時の状況に応じて適切に設定することで,切替えの安全性を向上させることに成功した(第2の雑誌論文).さらに,特に稼働状態の移行の安全性を向上させるためには,移行に伴う悪影響を抑制することが重要であるが,そのための指標を新たに開発し,それを用いて上記のコントローラの初期値の設定法をより効果的なものへ改善を進めている(その成果は令和2年度に発表予定).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本メンテナンス支援技術の安全性を向上させるためには,稼働状態に適したコントローラへの切替え時の初期値設定法が不可欠である.令和元年度には,稼動状態移行直後の制御システムの乱れ具合を定量的に評価した上で,切替時の状況に応じて最適な初期値を選ぶ手法を第2の雑誌論文で発表した.それに加えて、本研究とともに制御システムの安全性管理の一翼を担う、国際規格に準拠した安全性評価の一般的枠組みを、第1の雑誌論文で発表することができた.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度までに得られた結果をさらに深化させる.具体的には,本メンテナンス支援技術の実用性・安全性を向上させるため,上述した稼働状態に適したコントローラへの切替え時の初期値設定法を用いて,理論面での改良及びシステム解析・設計上のアルゴリズム面での検討・改良を行う.また,それをソフトウエアの形で具現化する予定である.得られた成果は随時発表すると同時に,国際規格への反映を目指す活動として,国際的な場やSNSを通じた国内外の規格関係者への研究成果のアピールも積極的に行う.
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