研究課題
製造物責任及び国際規格上、製造者は製品の適切なメンテナンス手法を使用者に告知する義務を負う。しかし、メンテナンス関連の国際規格には、それらの作業を安全に行うための環境に関して、何も記載されていない。通常の稼動状態とメンテナンス実施環境との間の移行も現場技術者の経験に頼っていることがほとんどであり、特にプロセス産業ではメンテナンス時に事故が多く発生する原因となっている。本研究では、工業製品及び生産現場の制御システムのメンテナンスを安全に行うための環境を作り出す技術を世界に先駆けて確立し、将来の国際規格への反映につなげることを目的とした。本研究で確立するメンテナンス支援技術の構想は、具体的には、サブシステムのメンテナンスのための停止、及びメンテナンス実施に適した環境における他のサブシステムの緊急停止に対しては、フォールト・トレランス設計の手法で対応する。通常の稼働状態とメンテナンス実施環境との間の移行に関しては、切替L2ゲインをその安全性評価・管理のための指標とする。前年度までにこの構想を実現する制御理論上の具体的なシステム設計法を開発し、公表済みである。今年度は、本支援技術の安全性を向上させる研究を行った。コントローラの切替えに際して、切替え後のコントローラの初期値を切替時の状況に応じて適切に設定し、切替えの悪影響を抑制する手法を開発した(第1の雑誌論文)。この手法を本支援技術中の移行に適用することで、その安全性を向上させることが可能である。これにより、線形時不変制御システムのサブシステムのメンテナンスに関しては、本支援技術をほぼ完成された形にすることができた。この研究成果は、令和3年度中の公表を目指して、すでに国際会議に投稿済みである。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Proceedings of the 19th European Control Conference
巻: - ページ: ―
IFAC-PapersOnLine
巻: Vol.53, Issue 2 ページ: 6452-6458
10.1016/j.ifacol.2020.12.1788