本研究課題「制御システムにおけるディペンダビリティの解析と設計」では、研究代表者らが行ってきたロバスト性解析と設計に関わる理論研究を、現代の高度にネットワーク化された制御システムの信頼性を解析し、設計できるシステム構築理論として、発展・充実させることを目指している。そのために、制御システムにおけるディペンダビリティの基礎と応用の両面から、研究を実施している。 計画3年目にあたる令和元年度は最終年度であり、ディペンダビリティの応用を中心として、これまでの研究成果をまとめるとともに、新たなアイデアの発掘を行った。まず、昨年度研究を開始したネットワーク化された多数のパラレルコントローラによる制御系を対象とする大規模システムのディペンダブル制御について、取り扱うことのできるネットワークのクラスを拡張しつつ、協調動作を可能とする情報交換のチャンネル数とネットワーク構造についての研究成果をまとめた。また、大規模システムに対しては、その調整が分散的に行えるのみならず、調整のための精密なモデルが不要であることがディペンダビリティの向上に直結するとの考えから、反復アルゴリズムの一種であるモデルフリー調整法を、大規模システムに対して分散的に適用できるための条件について検討を行った。そして、ある種のM行列条件のもとで、そのような調整が実際に可能であることを、連続時間アルゴリズムおよび離散時間アルゴリズムについて明らかにするとともに、寄生ダイナミクスの存在が調整に与える影響を解析した。これらの成果は、雑誌論文および学会発表として研究発表している。
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