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2020 年度 実施状況報告書

統計データに基づく補間によるパラメータ依存システムの同定

研究課題

研究課題/領域番号 17K06495
研究機関広島大学

研究代表者

田中 秀幸  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90303883)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードシステム同定 / 部分空間同定法 / カルマンフィルタ / 半正定値計画問題 / 確率実現 / 閉ループ同定
研究実績の概要

本研究の目的は,パラメータ依存システムの局所的方法によるモデリングとして,局所点から統計的な方法により補間を行うためのアルゴリズムの開発を行うことである。アルゴリズムの開発において多入力多出力系をいかに表現するかということが問題となるため,本年度は多入力多出力系の同定法の観点から研究を進めた。
単位円周に近い零点を持つ離散時間の確率システムの同定問題を考えた。このようなシステムは状態の初期値の影響が大きく現れるため,初期値の影響および正実性を考えた上で状態と白色雑音入力の共分散行列を推定する方法を求めた。これに基づいて実現理論を構築し,有限長のデータに当てはめることで新たな部分空間同定法を開発した。数値例により,提案法が良い結果が得られることを確認した。この結果を IFAC2020 World Congress で発表した(査読有)。
共著者とともに,入出力のみが観測される閉ループ同定問題に対し,イノベーションプロセスに基づく考察を行った。考察する問題設定において,有限区間での入出力に対する推定値は一般的にバイアスを持つ。そこで,共著者らが以前提案した正定値プログラミング問題を用いてカルマンゲインとイノベーションの共分散行列を推定することにより,閉ループ同定のバイアスを減らすことが可能であることを示した。データ長(部分空間同定法で用いる行列の横のサイズ)が十分に長く,かつ過去に関するホライズン(部分空間同定法で用いる過去の行列の縦のサイズ)が短い場合には,Closed-Loop MOESP や PBSID よりも良い推定結果を与えることを数値シミュレーションにより示した。この結果を IFAC2020 World Congress で発表した(査読有)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

パラメータ依存システムや不安定系の同定を考えることとしているが,そのための基礎となる確率系や閉ループ同定の多入力多出力系の同定法について明らかになってきたことの方が多かったため,それらについて研究を行い成果発表を行った。

今後の研究の推進方策

昨年度は不安定系の同定について分かってきたこともあるので,その観点から考察を進める。

次年度使用額が生じた理由

本研究の予算の多くは学会参加等の旅費に用いる予定にしていたが,新型コロナウイルスにより学会はオンライン開催となった。このため旅費を使用しなかった分,差額が生じた。次年度使用額は102,537円であり,学会による研究発表や消耗品等により予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Subspace Identification Algorithm for Stochastic Systems Equipped with Zeros Close to Unit Circle2020

    • 著者名/発表者名
      H. Tanaka and K. Ikeda
    • 雑誌名

      Preprints of the 21st IFAC World Congress (Virtual)

      巻: - ページ: 2463-2468

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An Estimation Method of Innovations Model in Closed-Loop Environment with Lower Horizons2020

    • 著者名/発表者名
      K. Ikeda and H. Tanaka
    • 雑誌名

      Preprints of the 21st IFAC World Congress (Virtual)

      巻: - ページ: 907-912

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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