研究課題
本研究では、近年飛躍的に進展した深層学習の諸技術をデータ駆動型制御系設計法に適用し、不感帯やヒステリシスなどのさまざまな非線形性を有する制御対象に対して、統一的に良好な制御性能を与えるニューラルネットワークによる制御器、および補償器を構成する方法の開発を行う。また、通常制御系を設計する際には、設計者の試行錯誤による各種設定が必要であるが、この設定作業を深層学習、およびニューラルネットワークの諸技術を用いて低減させる方法を検討する。本年度は、まず、再帰型ニューラルネットワークの一種であるLSTM (Long Short-Term Memory) を制御器として用いて、VRFT (Virtual Reference Feedback Tuning) の枠組みでLSTMの重み調整を行うデータ駆動型制御器調整法を提案し、成果をまとめて論文発表した。この方法により、同一構造の制御器によって、制御対象の入出力データのみから、制御対象のさまざまな非線形性に対応できる制御器調整が可能となった。しかしながら、LSTMの学習には比較的長い計算時間を要するため、この制御器調整はオフライン処理に限定されることが問題であった。そこで、LSTMに代わり、ESN (Echo State Network)とよばれる再帰型ニューラルネットワークの応用を検討し、ヒステリシスの非線形性をもつ形状記憶合金アクチュエータによる実機実験を行った。この結果をSICE Annual Conference 2021および第30回計測自動制御学会中国支部学術講演会において発表し、制御器調整のオンライン処理が実現可能であることを示した。これら一連の研究により、深層学習の諸技術をデータ駆動型制御系設計法に応用、発展させるという当初の目的を達成した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Innovative Computing, Information and Control-Express Letters
巻: 15 ページ: 421/427
10.24507/icicel.15.05.421
Proc. SICE Annual Conference 2021
巻: - ページ: 381/384