令和2年度における研究実績の概要は以下のとおりである. 1) 安定な制御対象に対して,これまではアクチュエータの冗長化と2自由度制御系化により,アクチュエータ故障とセンサ故障がそれぞれ別々に発生する場合の目標値追従性は確保できていたが,同時故障までは対応していなかった.そこで,センサ・アクチュエータの同時故障が発生した場合について,定置目標値への目標値追従性について検討した.フィードフォワード部を切り替えることで,閉ループ系の安定性に影響を与えることなく,同時故障に対応可能なサーボ系の設計方法を導出した.また,シミュレーションにて同時故障発生時でもサーボ系が実現可能であることを確認した. 2) 稼働中のシステムを止めることなく保守点検を可能とするオンライン保守は,保守点検時刻を事前に知り得るため,故障検出ができることと等価である.上記1)はセンサ故障およびアクチュエータ故障が自動的に検出可能であることを前提としていたが,オンライン保守では自動的に故障検出していることとと等価であるため,オンライン保守の実現可能性についても示したことになった. 2) 上記2)でも述べたように,センサ故障およびアクチュエータ故障が自動的に検出可能であることを前提としていた.そこで,センサ故障と断線故障を含むアクチュエータ異常が同時に起こり得る場合の故障検出方法について検討し,センサ故障,アクチュエータ異常ともにソフトウェア的に自動的に検出できる手法を提案した.また,その手法を用いて耐故障サーボが実現可能であることを示した.
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