研究課題/領域番号 |
17K06505
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
大屋 英稔 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (30361835)
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研究分担者 |
中野 和司 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 名誉教授 (90136531)
山口 芳裕 杏林大学, 医学部, 教授 (10210379)
宮内 洋 杏林大学, 医学部, 講師 (60407038) [辞退]
五十嵐 昂 杏林大学, 保健学部, 助教 (40821161)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 除細動適用成否予測システム / 重症不整脈 / 電気的除細動 / 自己心拍再開 / 心室細動再発 |
研究実績の概要 |
突然の心停止は,多くの場合,心室細動や心室頻拍などの重症不整脈によって引き起こされ,このような重症不整脈には,胸骨圧迫と早期の電気的除細動(以下,「除細動」と記す) が有効であり,バイスタンダー(心停止患者の近くにいる一般人)でも使用できる自動体外式除細動器の普及が進められている。除細動適用後に心電図波形が正常洞調律とならず,「心静止」や非常に振幅の小さい「無脈性電気活動」となってしまう場合もある。このような場合,自己心拍再開率は,心静止よりも心室細動の方がはるかに高いため,より不利な状況に陥ることになってしまう。このような背景から,本研究課題では,これまでに進めてきた心電図波形の高精度識別システム構築・検証(基盤研究(C),22560402,25420443)で得られた知見をもとに,心肺停止患者の心電図波形の状態遷移と電気的除細動適用後の自己心拍再開や心室細動再発などの関連性について解析・検討し,除細動の効果が有効であるか否かを予測する「除細動適用成否予測システム」の構築を進めてきた。具体的には,ウェーブレット変換を用いて心電図波形の状態を特徴付けるパラメータ(特徴量と呼ぶ)を抽出し,得られた特徴量に対して機械学習・パターン認識手法等を援用することによって,除細動が効果的に働いたことを意味する「除細動成功」,除細動適用後に正常洞調律に戻るがその後に心室細動に移行する「心室細動再発」,除細動適用後も心室細動のままであることを意味する「除細動失敗」の3つのパターンについて予測を行うシステムの構築を進めるとともに高精度識別システムの改良や胸骨圧迫による心電図波形への影響を検証した。ただし,「心室細動再発」については正しく判定が出来ていない,また「除細動適用後の心静止や無脈性電気活動」に関する予測など,解決すべき課題が未だ残されており,継続して検討を進めているところである。
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