研究課題/領域番号 |
17K06509
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
羽原 俊祐 岩手大学, 理工学部, 教授 (10400178)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ソルトスケーリング / 凍害 / 耐久性 / コンクリート / 凍結融解抵抗性 / メカニズム / 劣化現象 |
研究実績の概要 |
本年度は、ソルトスケーリングのメカニズムを解明するため、ソルトスケーリングにおよぼす冷却温度などの凍結融解条件について検討を行った。NaCl水溶液の濃度と冷却時の最低温度の影響について検討し,最低温度が-5-10℃の範囲においてスケーリングが生じる温度の閾値(スケーリング温度)を見出した.NaCl 水溶液の凍結挙動がソルトスケーリングに及ぼす影響を明らかにするため,凝固点以下-40~-3℃の範囲における降温・昇温の繰り返しがソルトスケーリングに及ぼす影響について検討した.
結果:小片凍結融解試験の結果、蒸留水の場合、最高温度-最低温度の如何なるすべての試験条件で質量残存率が95%以上でありスケーリングが起こらない.NaCl 水溶液の場合(b)では,最低温度が-40℃では,最高温度が-20℃より低い場合、質量残存率が90%以上とスケーリングは起こらず,最高温度が-20℃以上では質量残存率が低下し、ソルトスケーリングが生じている.最低温度がスケーリング温度(約-8℃)以上の場合では,降温・昇温によるスケーリングは生じていない.最低温度が-40~-10℃の場合,-20~-3℃の範囲でスケーリングが顕在化する.-20 と-15℃付近での温度の上下がスケーリングに及ぼす影響が大きいと考えられる. 小片凍結融解試験結果をNaCl 水溶液の形態から考察すると,共晶点以下での純水とNaCl 結晶の温度による収縮・膨張はスケーリングに及ぼす影響が小さいと考えられる.最低温度が-8℃以上の場合では,純氷の割合が小さいためスケーリングが生じないと考えられる.一方, スケーリングが生じる,最低温度-40~-10℃かつ最高温度-20~-3℃の場合では,降温・昇温により一部での凍結融解が生じ,この凍結融解作用がソルトスケーリングに影響していると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スケーリングが、スケーリング温度の凍結防止剤水溶液の共晶点の間の温度域に、凍結防止剤水溶液に接するコンクリートの温度が達すると、コンクリート表面に凍結防止剤の部分凍結により応力が発生し、ソルトスケーリングが生じることが類推できた。ソルトスケーリングのメカニズム解明に大きな解明となった。 コンクリート表面での応力発生量とその温度域などの解明により、メカニズム全体がクリヤーになる。今後は、この分野の研究をすすめたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果として、スケーリングが、スケーリング温度の凍結防止剤水溶液の共晶点の間の温度域に、凍結防止剤水溶液に接するコンクリートの温度が達すると、コンクリート表面に凍結防止剤の部分凍結により応力が発生し、ソルトスケーリングが生じることが類推できた。ソルトスケーリングのメカニズム解明に大きな解明となった。 コンクリート表面での応力発生量とその温度域などの解明により、メカニズム全体がクリヤーになる。今後は、この分野の研究をすすめたい。 NaClとは異なる凍結防止剤を使用し、共晶点温度の異なる凍結防止剤を選び、小片凍結融解試験方法を使用して、提案している仮説が証明されるかを検討する。 併せて、凍結または融解時のコンクリート表面での応力の生起についても明らかにする方法の検討を行う。
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