高知県では南海トラフ大地震の津波の対策として湾岸部における消波ブロックの増設が行われている。十分な耐波安定性を得るためには消波ブロックの重量化が効果的である。四国ではコンクリート用骨材とした銅スラグ骨材及びマンガンスラグ骨材といった密度の大きい骨材が供給されている。また、スラグ骨材の使用により懸念されるブリーディングを抑制するためにはフライアッシュの混和が効果的であり、四国では良質なフライアッシュが供給されている。 以上を踏まえて本研究では、四国で供給されるコンクリート材料を用いた重量コンクリートの開発を目的に、細骨材として銅スラグ細骨材、粗骨材としてマンガンスラグ粗骨材を使用し、さらに多量のフライアッシュを混和した重量コンクリートの強度特性、乾燥収縮特性、疲労特性及び、断熱温度上昇特性について検討を行った。 次に、フライアッシュを内割20%置換した配合を用いた実機練りコンクリートにおいて、圧縮強度や長さ変化試験等を実施し、実構造物におけるフライアッシュコンクリートの性能を検討した。 その結果、圧縮強度試験及び長さ変化試験では銅スラグ細骨材の作用により、強度増加、収縮の低減が確認できた。温度上昇試験では、スラグ骨材の使用による影響は見られなかった。疲労強度は普通コンクリートに比べ下回る結果となった。消波ブロックへの適用を想定して行ったが、スラグ骨材を全容量使用しても、振動締固めにより、密実な施工を行うことにより、適用は可能であると推定できた。 また、フライアッシュを内割で20%置換した配合が水和熱を最も抑制させ、フライアッシュを混入させたことによる乾燥収縮への影響も少ないことを確認した。これにより、夏季に高強度のマスコンクリートを打設する場合には、JIS規格品であるフライアッシュを内割で10%置換した配合よりも、20%で置換した配合の方が有効な手段であることを示した。
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