研究課題
偶発作用時におけるFRP補強鉄筋コンクリート(RC)部材の動的挙動特性および終局状態を適切に評価可能な信頼性の高い解析手法の確立を最終目的として,本年度は実験的ならびに数値解析的検討を実施した。実験的検討としては,昨年度に引き続き,FRPシート補強量を4種類に変化させた全11体を対象に衝撃荷重載荷実験を実施した。既往の研究では衝撃荷重載荷によって,終局に至るような場合や鉄筋が降伏し塑性変形が生じるような場合を想定した実験を実施してきたが,本年度は,鉄筋が降伏しないあるいは比較的塑性変形が小さい場合を想定し,入力エネルギーの小さな一定繰り返し衝撃荷重載荷実験を実施した。実験は全62ケース実施し,測定項目は,既往の研究と同様とした。その結果,1)単一載荷時にシート破断となるFRP補強RC梁においても,その1/6~1/3程度の入力エネルギーが繰り返し作用する場合においては載荷点上縁コンクリートの圧壊で終局に至ること,2)また,繰り返し衝撃荷重載荷時の最大変位が静的計算終局変位と同程度である場合には,シート剥離や破断には至らず,載荷点近傍の圧壊で終局に至ることなどを明らかにした。数値解析的検討としては,著者らの提案する手法の他,国内外で広く使用されている代表的な2つのコンクリート(KCC,CSC)モデルを取り上げ,既往の実験結果との比較によって,それらの適用性について詳細に検討した。その結果,1)無補強RC梁に関しては,いずれのモデルも耐衝撃挙動を概ね再現できること,2)一方,FRP補強RC梁の場合には,KCCモデルではFRP補強効果を評価できず,またCSCモデルの場合にも最大変位は概ね評価可能であるが,シートのひずみ分布などの再現は難しいこと,3)提案モデルの場合には,各種時刻応答波形,ひび割れ分布やシートのひずみ分布も適切に再現できることなどを明らかにした。
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