研究課題/領域番号 |
17K06553
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 達也 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50736353)
|
研究分担者 |
三浦 均也 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40190582)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 波浪 / 海底地盤 / 海岸構造物 / 海洋構造物 / 土砂移動 / 数式解 / 造波水路実験 |
研究実績の概要 |
平成29年度は微小振幅波理論(線形波動理論)の枠組みにおいて速度ポテンシャルを誘導することにより,進行波と重複波の解析および円柱構造物周辺の平面波の入射波,反射・回折波に関する数式解による波浪解析手法を開発し,海底面への波浪外力特性を評価した.数式解による波浪場の海底面近傍における流速と波浪解析により得られた海底面の水圧応答を入力値としてOne-wayによるu-p formulationからの地盤の有効応力変動を合わせた土砂移動の定性的・定量的評価ができる解析フレームワークを構築した.波浪と有効応力応答解析を線形解析の枠組みで実施したが,海底地盤の有効応力応答を考慮することによって,例えば,定常波の下での腹部での侵食,節部での堆積傾向を,入射角の影響を含めて明らかにすることができた. 波浪場における表層流速による掃流力と地盤内水圧変動による透水力が複合的に作用する複雑な土砂移動現象について,フルード相似則と漂砂の相似則を適用した実験条件による造波水路実験を用いて観察した.本検討では,Prototypeの地盤材料に近い豊浦砂と,想定しているPrototypeの砂質土に対して漂砂の相似則であるDean Numberを適用した珪砂8号の2種類の地盤材料を用いて実験した.特に,波浪による地盤内応力変動に着目し,実験中に観測した地盤内の間隙水圧変動とu-p formulation を用いた多孔質弾性体の応力変動に関する数式解と比較した結果,地盤材料の選定に漂砂の相似則を適用することで解析解に非常に近い値を得ることがわかり,波浪外力による地盤内応力変化を再現できることを明らかとした. 本研究内容において,平成29年度海岸工学論文奨励賞(松田達也)および土木学会中部支部平成29年度優秀研究発表賞(吉野貴仁)を受賞した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は微小振幅波理論(線形波動理論)の枠組みにおいて速度ポテンシャルを誘導することにより,進行波と重複波の解析および円柱構造物周辺の平面波の入射波,反射・回折波に関する数式解による解析手法を開発し,海底面への波浪外力特性を評価した.数式解による波浪場の海底面近傍における流速と波浪解析により得られた海底面の水圧応答を入力値としてOne-wayによるu-p formulationからの地盤の有効応力変動を合わせた土砂移動の定性的・定量的評価ができる解析フレームワークを構築した. 波浪場における表層流速による掃流力と地盤内水圧変動による透水力が複合的に作用する複雑な土砂移動現象について,フルード相似則と漂砂の相似則を適用した実験条件による造波水路実験を用いて観察した.本検討では,Prototypeの地盤材料に近い豊浦砂と,想定しているPrototypeの砂質土に対して漂砂の相似則であるDean Numberを適用した珪砂8号の2種類の地盤材料を用いて実験した.特に,波浪による地盤内応力変動に着目し,実験中に観測した地盤内の間隙水圧変動とu-p formulation を用いた多孔質弾性体の応力変動に関する数式解と比較した結果,地盤材料の選定に漂砂の相似則を適用することで解析解に非常に近い値を得ることがわかり,波浪外力による地盤内応力変化を再現できることを明らかとした.これにより,造波水路を用いた土砂移動実験について,波浪外力による地盤内応力変動を適切に再現できる実験方法を確立した.また,高速度カメラにより海底面変状を撮影し,PIV解析により波浪外力を受ける地盤表層の移動現象を定量的に評価できる技術を構築した.
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度で開発した波浪解析に関する数式解の解析手法を複数構造物間における波浪干渉を考慮した波浪場の解析および波浪外力-海底地盤相互作用を考慮した土砂移動解析手法へ拡張する.また,確立した実験手法を援用し,波浪場における重複波および円柱構造物(単体)周辺の海底地盤変化について考察する.実験結果と波浪と海底地盤の相互作用を考慮した数式解を用いて土砂移動現象を検証する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は模型実験結果を比較するためのベンチマークとなる数式解による波浪解析手法の開発を中心に実施した.平成30年度は平成29年度で得られた数式解をもとに模型実験を実施するため,実験で使用する模型および計測機器の購入で基金を使用する計画である.
|