研究課題/領域番号 |
17K06559
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
椋木 俊文 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (30423651)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 浄化 / 超音波 / 油汚染 / 間隙構造 / CT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,透過地盤による空気注入および超音波作用を利用した地盤内残留油の浄化機構の解明を行うことである.間隙構造と空気流動の関係を評価するために,マイクロX線CT(以下MXCT)用空気注入実験装置を作製し,空気の注入挙動に伴う油の3次元残存状態を評価する.次に,注入速度が地盤中での空気における流動現象に及ぼす影響を定量的に評価する.最後に,超音波作用によるVOC流体による汚染地盤の浄化状態を評価するため,油汚染地盤を想定した部分的に油がトラップされている供試体を作製し,超音波作用による浄化実験を試みる。この結果より超音波作用が不動油に及ぼす影響を,間隙内の油の残存量分布から定量的に評価する。2018年度では,同屈折率の粒状シリカとLNAPLで透過した供試体を作成し,2つの実験を行った.1つ目は,その供試体に対して空気を注入することで流動特性を把握する実験,およびMXCT撮影により空気のトラップ現象を評価する実験を行った.2つ目は,超音波を作用させることで供試体内のLNAPLを浄化できるのか,またその浄化機構の解明に関する実験を行った.さらに,温度上昇による界面張力・接触角を測定した.以上の実験結果のまとめは以下のとおりである。 空気の注入速度を速くすることで,広範囲に空気を分布させることができ,さらに間隙にトラップされる量も増加するため、それにより空気とLNAPLの接触面積は増加することが分かった。間隙流体の温度上昇に伴い,毛管圧力水頭は減少するため、温度上昇は浄化効率の向上につながることが示唆された.超音波を作用させることで,不動化したLNAPLの移動,乳化,マイクロバブルによるフローテーション作用が起こり,LNAPLの浄化につながることが確認された。また供試体の締め固まりが起こり,不動化したLNAPLをトラップする間隙径の分布が変化することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画では、(1)屈折率整合法・超音波入力法の併用による粒状体のVOC輸送可視化実験の開発および(2)X線CT画像データを用いた粒子法によるVOC汚染機構の定量評価の実施とし、実験装置の選定に時間がかかったため、29年度中の装置の開発がやや遅れた。一方、(2)について、二相流格子ボルツマン法による流動解析を実施し、パラメータの感度解析を実施してきた。2017年度に購入予定だった超音波発生装置を2018年度で購入し、試行実験を繰り返してきた。初めて導入する機械であり、装置の特徴を把握するため、基本実験を繰り返し、地盤内に生じる浄化現象として、超音波による「乳化」を期待する実験を行った。これにより、実験手法、実験ケースの見直しも図られ、実験装置の開発は完了した。平成30年度計画では、(3)マイクロX線CT対応型熱流動実験装置と超音波入力実験装置の連動システムの開発とあり、上記の(1)の実験装置の開発の中で同時並行してマイクロX線CT対応型熱流動実験装置を開発し、学部卒業論文としてまとめている。 以上のとおり、29年度から30年度の移行時期に若干の計画の進捗が遅れたが、30年度で卒業論文と修士論文としてまとめ、最終年度の計画に追い付いていることからおおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度計画として、(4)CT画像データを用いた粒子法とFEMによる流動解析および(5)地盤中における超音波を用いたVOC浄化条件の提案としている。CT画像データを数値解析の幾何学条件として取り込むプロセスは完成している。(5)については、30年度尾実験結果の反省を踏まえ、空気とLNAPLが接触することで,LNAPLがどの程度揮発するのかを測定し,浄化量にどの程度違いがあるのかを比較する.超音波作用で起こる現象について,LNAPLのBrobの動き,間隙構造の変化,乳化,マイクロバブルによるフローテーション作用等,どの要素がどの程度LNAPLの浄化に占めたのかを測定できていないため,それぞれを評価する必要があるという課題を残している。これらの課題を解決するために、修士論文のテーマとして学生と共に研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度は、実験装置の開発経費を工夫と他の外部資金により情報収集のための出張旅費が支出できたため、決算額が当初予算よりも抑えられた。一方、31年度はこれまでの研究成果発表のため国際会議(オーストラリアと台湾)での発表、国内シンポジウム(埼玉・札幌)の発表などがあり、支出が想定された為、30年度予算を繰り越すことを決めた。
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