研究課題/領域番号 |
17K06563
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
塚本 良道 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 教授 (50253505)
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研究分担者 |
野田 翔兵 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (30749289)
兵動 太一 富山県立大学, 工学部, 講師 (80749078)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 液状化 / 地盤改良 / 浸透固化 / セメント / 浸透促進 / 細粒分 |
研究実績の概要 |
初年度に得られた研究成果をもとに、今年度においては研究目的を絞って、研究を進めることとした。具体的には、昨年度において、最適な水セメント比と目されるw/c=8において、細粒分含有率15%の砂地盤への注入固化の適用を検討したことから、今年度は同じ最適水セメント比w/c=8において、さらに高い細粒分含有率を有する砂地盤への適用性の検討を、小型3次元試験装置により調べることとした。また、最適水セメント比より高いw/cの低濃度のセメントミルクを用いた注入において、追い注入による浸透促進が機能するかを調べることとした。ひとつ目の検討項目については、細粒分含有率が15%から25%まで増加すると、浸透固化する地盤の体積が75%まで低下することがわかった。これにより、細粒分含有率が15%から25%に増加すると、設計半径に対する改良体半径の比で定義される改良率も70%から60%程度まで減少することがわかった。また、改良体の形状もいびつになる傾向が高まり、良好な改良体の形成が難しくなる傾向にあることがわかった。ふたつ目の検討項目については、最適水セメント比より高いw/cの低濃度のセメントミルクを用いた注入においては、追い注入により改良体の体積を増加させることはできず、むしろ減少させることがわかった。具体的には、改良体の体積は40%程度まで減少することがわかった。これは、もともと低濃度のセメントミルクが、追い注入によりさらに地盤内で希釈化され、固化に必要な濃度を維持している地盤内の領域の体積が減少したためであると考えている。今後、さらに追い注入技術の高度化していく必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最適な水セメント比を含むさまざまな濃度のセメントミルクを用いて、細粒分含有率15%、20%、25%の砂地盤への注入の検討を、室内小型3次元浸透装置を用いて行ってきた。また、さまざまな水セメント比のセメントミルクと、さまざまな細粒分含有率の砂地盤において、追い注入の効果の検討を行ってきている。一部の条件下についてではあるが、室内小型2次元浸透固化試験装置も用いて、浸透過程の可視化を行った試験シリーズを実施し、追い注入の効果の検証を行うこともできた。細粒分を多く含む砂地盤への浸透固化の適用においては、最適な水セメント比またはそれ以下の水セメント比の高濃度のセメントミルクを用いた浸透固化を行い、追い注入による浸透促進を図ることが必要であることが明確となってきた。今後、追い注入による浸透促進技術の洗練化・高度化を図っていかなければならないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
良好な改良体を得るには、最適な水セメント比またはそれ以下の水セメント比の高濃度のセメントミルクを用いた浸透固化において、追い注入による浸透促進を図ることが必要であることが明確となってきた。今後、追い注入による浸透促進技術の洗練化・高度化を図っていかなければならない。まずは、室内2次元浸透固化装置を用いた試験シリーズの実施により、浸透過程の可視化を行い、良好な追い注入を得る方法を検討する必要がある。また、得られた知見をもとに、より効率的な追い注入の方法を確立することとする。これをもとに、様々な物性を有する砂地盤について、浸透促進の検証を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度においては、とくに人件費・謝金が多く必要とならなかったことが、大きな要因としてあげられる。今年度は、状況に応じて、物品費・旅費・その他の費目としての利用を図りたいと考えている。
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