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2017 年度 実施状況報告書

自然由来のヒ素を含有し酸性化する掘削土砂の中性化による不溶化処理に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K06566
研究機関九州産業大学

研究代表者

林 泰弘  九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (50274692)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード中性化処理 / 酸性土 / アルカリ資材 / 養生条件 / pHの測定法
研究実績の概要

堆積泥岩である上総層群泥岩や関門航路の浚渫粘土に硫酸や黄鉄鉱を添加してpH≒3または4の模擬酸性土を作製したうえで,炭酸カルシウム,酸化マグネシウム,苦土石灰,製鋼スラグなどのアルカリ資材を添加して中性化処理土を作製した。中性化処理土のpH上下限値を密閉養生7日後の土懸濁液試験によるpH(H2O)=6,8と設定し,必要なアルカリ資材の添加量を求めた。酸性化に必要な硫酸や黄鉄鉱の添加量が多い土ほど中性化に必要なアルカリ資材の量が多くなった。これは土の緩衝能が影響していると考えられた。
この中性化処理土の長期的なpHを確認するために,養生条件を密閉養生(最大1年)と乾湿繰り返し養生の2種類とした試料を準備し,酸性化可能性試験によるpH(H2O2)と土懸濁液試験によるpH(H2O)を測定した。
アルカリ資材添加量の基準とした養生7日目の密閉養生試料のpH(H2O)が中性域を示しても、アルカリ資材の添加量が少ない場合には1年間湿潤養生や乾湿繰返し養生した試料のpH(H2O)やpH(H2O2)は酸性側に変化する場合がみられた。1年間湿潤養生した場合には養生期間における土自身の酸性化や黄鉄鉱の酸化・酸性化が影響していると考えられる。乾湿繰り返し養生を行った場合は土の物理的,化学的劣化による細粒化などによる土の表面積が増えたために相対的にアルカリ資材の添加量が不足したためであると考えられる。
アルカリ資材自身も周辺の環境によって溶解速度が変わることも推察されたため,さらなる検討が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自然に酸性化する土やヒ素の溶出量が土壌環境基準を超過する土の入手ができていないものの,長期的なpHの評価がある程度できたため。

今後の研究の推進方策

自然に酸性化する土を入手し,平成29年度に得られた知見をもとに,継続的なpHの挙動を把握し,適切な中性化処理方法を検討する。すなわち,添加するアルカリ資材の種類や添加量のみならず添加時期についても検討する。自然に酸性化する土が入手できない場合には硫酸や黄鉄鉱の添加を複数回に分け段階的に土を酸性化することで代替する。これらの結果より酸性化物質とアルカリ化物質の収支バランスを検討する。
ヒ素の溶出量が土壌環境基準を超過する土を入手し,中性化処理によってヒ素の溶出量を抑制できるかどうかを確認する。ここでも酸性化の進行と添加するアルカリ資材の種類や添加量,添加時期との関連も検討する。
中性化処理土を盛土材として適用する場合に必要な力学特性をコーン指数試験,CBR試験,一軸圧縮試験,圧密試験,透水試験などによって評価する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 酸性化する上総層群泥岩の中性化処理2017

    • 著者名/発表者名
      林泰弘・赤司かがり・佐藤市朗・田村明・中道和則・長野祐希・松尾雄治
    • 雑誌名

      第12回環境地盤工学シンポジウム発表論文集

      巻: - ページ: 303,308

    • 査読あり
  • [学会発表] 中性化処理した上総層群泥岩の化学特性に及ぼす乾湿繰り返し作用の影響2018

    • 著者名/発表者名
      赤司かがり・林泰弘・佐藤市郎・田村明・木原聡・松尾雄治
    • 学会等名
      平成29年度土木学会西部支部研究発表会
  • [学会発表] 母材の異なる酸性土の中性化処理に及ぼすアルカリ資材の効果2018

    • 著者名/発表者名
      木原聡・林泰弘・佐藤市郎・田村明・赤司かがり・松尾雄治
    • 学会等名
      平成29年度土木学会西部支部研究発表会
  • [学会発表] 中性化処理した上総層群泥岩の化学特性2017

    • 著者名/発表者名
      赤司かがり・林泰弘・佐藤市朗・田村明・中道和則・松尾雄治
    • 学会等名
      土木学会第72回年次学術講演会

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公開日: 2018-12-17  

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