衛星を用いた洪水氾濫検知は,空間分解能は低いが全天候型のマイクロ波を用いる方法と,空間分解能は高いが雲の影響を受ける可視・赤外を用いる方法に大別されるが,即時性,高い空間分解能,雲の影響を受けない高い観測精度,の全てを満たす手法の開発が待ち望まれている.本研究では,マイクロ波放射計を用いた低空間分解能の日単位の浸水域図と,可視画像を用いた中空間分解能の週単位の雲なしモザイク画像をデータベース化し,ひまわり画像との間で時空間ミクセル解析を行うことにより,世界で類を見ない,10分に1度,500mの分解能で洪水氾濫を検知するアルゴリズムを開発する.これにより,環太平洋地域の洪水氾濫情報を,我が国が主体となって提供することができる. 本研究は,a) 可視画像を用いた中空間分解能の週単位の雲なしモザイク画像データベース作成,b) マイクロ波放射計を用いた低空間分解能の日単位の浸水域図データベース作成,c) 時空間ミクセル解析を用いた洪水氾濫検知アルゴリズムの開発,の3つに分けられる.宇宙航空科学技術推進委託費(H27-29)「気象衛星ひまわりを活用したアジア太平洋地域の林野火災準実時間観測」(研究代表者 竹内 渉)で,得られる精密幾何補正,雲除去,放射輝度校正などの基本ソフトウェアを利用しつつ,次に示すように,およそ1年間を目安に各要素技術の開発を進める.
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