研究課題/領域番号 |
17K06594
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 曜子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90632711)
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研究分担者 |
田中 尚人 熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (60311742)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 省察的実践 / 事例研究 / 被災者支援 / 災害ボランティア |
研究実績の概要 |
本研究が対象とする,防災や復興のまちづくりの場では,実践者である住民やNPOと専門家との間で互いの知識や経験を共有する機会(省察的対話)は不可欠であるが,両者を実証主義に則った観察ー被観察の関係に置くかぎり,そうした対話を現実に生み出すことは容易ではない.本研究は「専門家と実践者が行ってきたことを振り返る対話によって,研究そのものが深化する」という構成主義の立場に立ちつつ,地域の中で専門家と実践者の間に良質な省察的対話が生まれ,継続されるメカニズムを復興まちづくりの事例をもとに明らかにすることを目的として実施した. 平成29年度は[Ⅰ]研究フレームワークの構築として,本研究の前提となった知見をまとめつつ「土木計画学における事例研究の方法論確立のための検討」を行い,第55回土木計画学研究発表会(春大会)や「場のデザイン研究会」等での発表,議論を行った.[Ⅱ-C]中越でのフィールド調査については,1)復興人材研究会での復興支援員等へのインタビュー,2)被災地における省察的実践家ともいえるエイドワーカーへのインタビュー,3)「建設業者」たる専門家と市民活動との連携に関するインタビューを実施した.また,東日本大震災後の復興支援員に対するインタビュー調査も実施した.この結果の一部を「中小建設業者のCSRに関する考察-災害ボランティア活動との接続可能性についての検討」として,IDRiM2017,および第56回土木計画学研究発表会(秋大会)にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実施計画に示した項目のうち,[Ⅰ]研究フレームワークの構築,[Ⅱ-C]中越でのフィールド調査に関して概ね予定通り実施ができた.また計画に加えて,東北において東日本大震災後の復興支援員に対するインタビュー調査も実施することができた.また,ここで得られた成果を1度の国際学会,2度の国内学会で口頭発表を行い,2編の学術論文として投稿することができた.[Ⅱ-K]熊本での参与観察については若干進捗が遅れているが,熊本の事例については「場のデザイン研究会」等で補足しつつ,平成30年度以降の実施に努めたい.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度については,[Ⅱ-C]中越でのフィールド調査,[Ⅱ-K]熊本での参与観察を継続しつつ,[Ⅲ]復興支援員へのアンケート調査(フィールドT)が調査の主軸を占める.東日本大震災の被災地で活動した元・現の復興支援員を対象に,関わった地域での専門家が果たした役割や,復興支援員と専門家との関係の経過等について尋ねる,という目的を達成するために必要な調査フレームワークの構築を行い,今年度中に実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度中に実施する予定であった,仙台での復興人材研究会が,主催者の事情により開催されず,H30年度の実施に繰り越しとなったため.従って,H30年度中に実施する同研究会への参加旅費として使用する予定である.
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